内窓グレードの違いを徹底比較|SS・S・Aどれを選ぶべき?

内窓 グレード 違いを比べる女性

冬の寒さや夏の暑さをやわらげたい、光熱費を抑えたい。そんな目的で注目されているのが「内窓」です。しかし、カタログや補助金の説明を見ると「SSグレード」「Sグレード」「Aグレード」など、複数のグレードが並び、どれを選べばよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

グレードによって断熱性能や補助金額が異なるため、見た目が似ていても効果や費用には大きな差があります。適切に選ばないと、「思ったより効果が感じられない」「補助金の対象外だった」といった後悔につながることもあります。

この記事では、内窓のグレードごとの特徴や性能の違いをわかりやすく整理し、住まいの条件や目的に合った選び方を解説します。これから内窓を検討する方が、自分に最適なグレードを見つけるための基礎知識としてご活用ください。

内窓 グレード 違いの基本を押さえる

内窓には、SS・S・Aといったグレードが設定されており、それぞれ性能や価格、補助金の対象金額が異なります。まずは、このグレードの意味と基本的な考え方を理解しておくことが大切です。グレードは「どれだけ断熱性能が高いか」を示す指標であり、家の快適さや省エネ効果を左右します。

グレードとは何か(SS・S・Aの意味)

内窓のグレードは、断熱性能を示す「Uw値」によって区分されます。SSグレードはUw値1.1以下と最も性能が高く、真空ガラスを採用したモデルが中心です。Sグレードは1.5以下、Aグレードは1.9以下となり、断熱性能に応じて補助金の金額も変わります。つまり、グレードは製品の断熱性を客観的に比較するための目安なのです。

断熱性能の指標Uw値とガラス種の関係

Uw値とは、窓全体の熱の通しにくさを数値で示したもので、値が小さいほど高断熱です。SSグレードの多くは真空ガラスを採用し、熱の伝わりを最小限に抑えます。一方でSやAグレードでは、Low-E複層ガラスや一般複層ガラスが中心となり、性能とコストのバランスが取れています。用途に応じて適した組み合わせを選ぶことが大切です。

枠材と気密の基礎(樹脂/アルミ樹脂複合)

窓の性能を支えるのはガラスだけではありません。枠材の構造も重要です。樹脂サッシは気密性と断熱性に優れており、結露の発生を抑える効果もあります。一方、アルミ樹脂複合タイプはコストを抑えつつ耐久性も確保できるため、寒冷地以外の地域で人気です。ガラスと枠材をセットで考えることで、より高い効果を得られます。

住まい・方位・気候で変わる最適グレード

同じグレードでも、地域や家の向きによって体感は異なります。例えば、北海道や東北など寒冷地ではSSグレードが効果的ですが、温暖な地域ではSグレードでも十分な断熱性が得られます。西日が強い部屋や大きな窓のあるリビングなど、方位や用途を考慮してグレードを選ぶと、費用対効果を最大限に高めることができます。

SSグレードは最高水準の断熱性能を持ちますが、費用も高め。Sグレードは性能とコストのバランスが良く、Aグレードは必要最低限の断熱性を求める方向けです。

具体例:東京都内の戸建住宅で、北側の寝室にSSグレード、南面のリビングにSグレードを設置したケースでは、冬の朝の室温が平均で3〜4℃上昇し、光熱費も約15%削減できたという結果があります。

  • グレードはUw値で性能を判断する指標
  • ガラス種と枠材の組み合わせが性能を左右
  • 地域や方位により最適グレードは異なる
  • 費用対効果を考慮して選ぶのがポイント

SS・S・Aグレードの具体比較

ここでは、3つの主要なグレード(SS・S・A)の違いをもう少し具体的に比較していきます。断熱性能の数値だけでなく、防音性や結露防止効果、コストパフォーマンスといった実用的な面も含めて見ていきましょう。

SSグレード(真空ガラス中心)の特徴と適性

SSグレードは、真空ガラスを採用することで高い断熱性能を実現しています。窓の内外で約30℃の温度差がある冬でも、室内側のガラス面が冷たくなりにくく、結露の発生も抑えられます。ただし、製品価格と施工費が高くなる傾向があり、全窓をこのグレードにするのではなく、北面や寝室など重点箇所に導入するのが効果的です。

Sグレード(Low-E複層)との性能差

Sグレードは、Low-E(低放射)複層ガラスを採用し、断熱と遮熱のバランスに優れています。冬は室内の熱を逃さず、夏は外からの熱をカットする構造です。SSに比べて費用を抑えつつ、実感できる快適性を得られるため、一般的な住宅では最も採用例が多いグレードといえます。

Aグレード(一般複層)との性能差

Aグレードは、標準的な複層ガラスを使用し、コスト面で導入しやすい点が特徴です。断熱性能はSやSSに劣りますが、既存のアルミサッシ住宅に比べれば明らかに改善します。賃貸物件や部分的な断熱リフォームには最適な選択肢となるでしょう。

防音・結露・遮熱の体感差

SSグレードでは真空層による高い防音性能が得られ、車通りの多い道路沿いでも静けさを感じられます。Sグレードは遮熱・結露対策のバランスが良く、Aグレードは一定の防音効果を保ちつつコストを重視する方向けです。体感の差は数値以上に大きいため、生活環境に合わせた選択が重要です。

価格差とコストパフォーマンスの目安

一般的な腰高窓(幅170cm×高さ110cm)を例にすると、SSグレードで約12〜15万円、Sグレードで8〜10万円、Aグレードで5〜7万円が目安です。補助金を考慮すればSグレードが最も費用対効果に優れ、性能とのバランスが良いとされています。

グレードUw値主なガラス種価格目安補助額
SS1.1以下真空ガラス約12〜15万円最大84,000円
S1.5以下Low-E複層約8〜10万円約64,000円
A1.9以下一般複層約5〜7万円約36,000円

具体例:築25年の木造住宅で南面4枚の窓をSグレードに交換した場合、冬場の暖房費が年間で約1.5万円削減されたとの報告があります。

  • SSは性能最優先、Sはバランス重視、Aはコスト重視
  • 用途別・部屋別にグレードを組み合わせるのが効果的
  • 補助金制度を活用すれば上位グレードも導入しやすい
  • 体感効果は数値以上に差が出るため比較検討が重要

ガラスとサッシの選択肢・相性を理解する

内窓の性能を決めるのは、グレードだけでなく「ガラスの種類」と「サッシの組み合わせ」です。断熱性や遮熱性、防音性を最大限に引き出すには、用途に合ったガラス構成とサッシ材質の相性を知っておく必要があります。

真空ガラス/Low-E複層/一般複層の違い

真空ガラスは2枚のガラスの間を真空にすることで、熱の伝わりを極限まで減らした高性能タイプです。Low-E複層ガラスは特殊金属膜で赤外線を反射し、断熱・遮熱の両立が可能です。一般複層ガラスは価格が手頃で、既存住宅の簡易リフォームに向いています。性能・費用・重量のバランスを見ながら選びましょう。

窓種別の注意点(引違い・開き・FIXなど)

窓の種類によっても選ぶべき構造が異なります。引違い窓は開閉頻度が高いため、気密性を確保しやすい複層タイプが向いています。開き窓は断熱性に優れる一方でコストが上がる傾向があります。採光を重視するFIX窓では、真空ガラスを用いると結露防止効果が高くなります。

主要メーカーの代表機種比較(YKKAP・LIXIL・三協)

代表的な内窓製品には、YKKAPの「プラマードU」、LIXILの「インプラス」、三協アルミの「プラメイクEⅡ」などがあります。いずれもSまたはAグレードに対応し、ガラスや枠色、開閉方式を自由に選べるのが特徴です。部屋の雰囲気や施工性を比較しながら選定すると良いでしょう。

部屋別の選び方(浴室・和室・寝室・リビング)

部屋の用途によって求められる性能は異なります。浴室では結露とカビ対策に強い樹脂サッシを、寝室では防音性の高い真空ガラスを選ぶのがおすすめです。リビングは採光を確保しつつ断熱を重視し、和室では障子との調和を考えて引違いタイプを選ぶと自然な仕上がりになります。

ガラスの性能だけでなく、窓の形状や使用目的を踏まえた「組み合わせ選び」が重要です。同じグレードでも構成を工夫すれば、快適性とコストのバランスを最適化できます。

具体例:東京都内の集合住宅でリビングにLow-E複層、寝室に真空ガラスを導入したところ、冬場の室温差が4℃縮まり、暖房時間が約2割短縮されたとの報告があります。

  • 真空ガラスは最高の断熱性、Low-Eはバランス型
  • 窓の種類により最適な構造が異なる
  • メーカーごとに性能や価格帯に特徴がある
  • 部屋の用途で選び分けると満足度が高い

先進的窓リノベ2025:グレードと補助額のしくみ

2025年も継続される「先進的窓リノベ事業」は、内窓リフォームを行う家庭に対して国が補助金を支給する制度です。対象となるのはSS・S・Aグレードのいずれかに該当する高性能窓で、グレードごとに補助金額が異なります。

内窓設置の対象要件とサイズ区分

補助金の対象となるには、既存住宅であることが前提です。また、窓のサイズによって補助額が変わります。大サイズ(2.8㎡以上)、中サイズ(1.6〜2.8㎡未満)、小サイズ(1.6㎡未満)などの区分があり、開口部ごとに算出されます。施工業者が代理申請する形が一般的です。

グレード別の補助額と加算の考え方

内窓 グレード 違いを比べる女性

SSグレードは最も高額で、1窓あたり最大8.4万円。Sグレードは約6.4万円、Aグレードは約3.6万円が上限です。複数窓を設置すれば合計補助額が大きくなります。省エネ住宅ポイントや地方自治体の補助と組み合わせることで、さらに実質負担を減らすことも可能です。

申請の流れ・スケジュール・必要書類

申請は施工業者を通じて行うのが一般的で、工事完了後に必要書類を提出します。必要書類には、工事写真・製品証明書・請求書・図面などが含まれます。受付期間は年度ごとに設定されるため、スケジュールに余裕を持つことが大切です。事前に登録された施工事業者を選ぶのが条件です。

併用可否や他制度との関係

先進的窓リノベは、他の住宅省エネキャンペーンや子育て支援事業との併用が認められる場合もあります。ただし、同一工事に対して複数制度から重複して補助を受けることはできません。工事内容を分けて申請するなど、業者と相談しながら最適な形を検討しましょう。

グレード補助上限額(1窓)対象ガラス主な製品例
SS約84,000円真空ガラスYKKAP プラマードU(真空仕様)
S約64,000円Low-E複層LIXIL インプラスS
A約36,000円一般複層三協アルミ プラメイクEⅡ

具体例:東京都内の3LDK住宅で10か所にSグレード内窓を設置した場合、補助金総額は約60万円に達し、実質負担は約40万円となりました。

  • 先進的窓リノベ2025は内窓リフォームを強力に後押し
  • 補助額はグレードと窓サイズで決定される
  • 登録業者を選ぶことが申請の必須条件
  • 他制度との併用は条件を確認して慎重に行う

施工と見積もりで失敗しないコツ

内窓の効果を十分に発揮させるには、製品選びだけでなく施工の質も大切です。同じグレードを選んでも、施工精度が低ければ気密性が損なわれ、結露や隙間風の原因となることもあります。ここでは、工事の流れと見積もり時の注意点を整理します。

採寸から工事完了までの基本フロー

まず現地調査でサッシのサイズを正確に測定し、適合する内窓を選定します。注文から製品到着まで1〜2週間程度、施工自体は1窓あたり1〜2時間で完了するケースが一般的です。既存サッシを傷つけずに取り付けるため、専門業者による丁寧な作業が求められます。

見積書の読み方(製品・工事・諸経費)

見積書には「製品代」「工事費」「諸経費(交通費や処分費など)」が含まれます。特に注意すべきは、ガラスの種類やサッシ材質が明記されているかどうかです。補助金申請を考えている場合は、対象グレードである旨の記載も確認しておきましょう。

追加費用が出やすいケースと回避策

築年数が古い住宅やサッシ枠が歪んでいる場合、下地調整が必要になることがあります。また、既存サッシに障子レールやカーテンレールが干渉する場合も追加工事が発生します。現地調査の段階で写真を撮影し、必要工事を明確にしておくことでトラブルを防げます。

施工品質・保証・アフターの確認ポイント

工事後に気密が十分取れていないと、断熱性能が低下します。施工後のチェックでは、窓の開閉具合やシーリング処理を確認し、保証期間(一般的には1〜2年)やアフターサービス内容も把握しておきましょう。メーカー保証と施工保証の両方があると安心です。

施工前の現地調査と、見積書の内容確認がトラブル防止の鍵です。補助金を申請する場合は、登録業者かどうか必ずチェックしましょう。

具体例:あるリフォーム業者では、工事前に「干渉チェックシート」を活用し、追加費用の発生率を半減させたという事例があります。事前説明と写真確認の徹底が信頼につながります。

  • 採寸から施工までの流れを理解しておく
  • 見積書では製品仕様と補助金対象の有無を確認
  • 追加費用のリスクは現地確認で防げる
  • 保証・アフター内容を明記する業者を選ぶ

目的別の最適解と注意点

内窓の導入目的は家庭によって異なります。断熱、省エネ、防音、結露対策など、目的に応じて最適なグレードやガラス種を選ぶことが重要です。ここでは代表的な目的別の選び方と注意点を紹介します。

省エネ重視/防音重視/結露対策重視の選び分け

省エネを重視するならSグレード以上のLow-E複層ガラス、防音を重視するなら真空ガラスを採用したSSグレードが最適です。結露対策を重視する場合は、樹脂サッシ+Low-E複層ガラスが効果的です。目的を明確にして選定すれば、費用を無駄にせず効果を最大限引き出せます。

開閉性・干渉・避難経路への配慮

内窓を設置すると、開閉スペースが増えるため、既存のカーテンレールや網戸と干渉する場合があります。また、避難経路を塞がないよう注意が必要です。特に掃き出し窓では、開閉方向やハンドル位置の確認を怠らないことが安全性確保につながります。

賃貸・持ち家・将来リフォーム計画での考え方

賃貸物件の場合、原状回復義務を考慮して取り外し可能な簡易タイプが適しています。持ち家では、断熱リフォーム全体の計画に合わせて窓グレードを決めると無駄がありません。将来的に外窓交換を予定しているなら、内窓は中間グレードにして費用を抑えるのも有効です。

よくある失敗例とその対策

「性能が高いからとSSグレードを全窓にしたが、費用がかさみ過ぎた」「ガラスが重くて開け閉めがしづらい」といった後悔は少なくありません。性能・コスト・使いやすさのバランスをとることが最も大切です。複数部屋で異なるグレードを使い分ける柔軟な考え方を持ちましょう。

目的おすすめグレードポイント
省エネ・光熱費削減SグレードLow-E複層で冬も夏も快適
防音・静かな環境SSグレード真空ガラスが高い遮音性能を発揮
結露対策SまたはAグレード樹脂サッシと組み合わせると効果的
賃貸・費用重視Aグレード施工も簡単でコストを抑えられる

具体例:防音目的でリビングにSSグレードを導入した家庭では、テレビ音量を3段階下げても会話が聞こえるほど静かになったとの声があります。

  • 目的を明確にしてグレードを選ぶと満足度が高い
  • 安全性や開閉のしやすさも忘れず確認
  • 持ち家・賃貸で導入方法を変える
  • 高性能すぎる選択が必ずしも最適とは限らない

事例で見る効果と費用感

ここでは、実際に内窓を設置した家庭の事例をもとに、グレード別の効果と費用感を確認していきます。具体的なデータを見ることで、自分の住まいにどのグレードが適しているかを判断しやすくなります。

3LDK戸建のモデルケース(費用と効果)

築20年の木造住宅(延床面積90㎡)で全12か所の窓にSグレード内窓を設置したケースでは、工事費込みで約95万円、補助金が約60万円支給され、実質負担は35万円程度となりました。冬の平均室温は約3℃上昇し、エアコン稼働時間は20%削減されています。

寝室の防音改善ケース(体感差と測定)

都市部の幹線道路沿いにある住宅で、寝室2か所にSSグレードを導入したところ、騒音レベルが約10デシベル低下しました。これは、深夜の車の走行音がほとんど気にならない程度の変化です。防音目的なら、真空ガラスの採用が特に有効といえます。

日射遮蔽・西日対策のケース(夏の快適性)

南向きリビングにLow-E複層ガラスを採用したSグレードを設置した家庭では、夏の日射による室温上昇を抑え、冷房効率が改善しました。結果として、8月の電気使用量が前年同月比で約13%減少しています。遮熱型のガラスを選ぶことで、夏の快適性が大きく向上します。

光熱費削減と回収年数の目安

一般的な家庭では、Sグレードを導入した場合、年間の暖冷房費が約1.5万〜2万円削減されます。初期投資を補助金で抑えられれば、5〜6年で費用回収が可能です。さらに、室内環境の改善による快適性の向上は、数値以上の価値があるといえるでしょう。

補助金制度をうまく活用すれば、高性能なSやSSグレードでも現実的な費用で導入が可能です。目的に応じた投資バランスを考え、長期的な光熱費削減効果を見据えることが重要です。

具体例:北海道札幌市の住宅でSSグレードを全窓に導入した結果、暖房費が年間で約3万円減少し、結露もほとんど発生しなくなったという報告があります。

  • 補助金を利用すれば初期費用を大幅に軽減できる
  • 防音・断熱・遮熱効果はいずれも数値で確認可能
  • グレードによって回収年数の目安が異なる
  • 実際の効果は生活スタイルや地域で変化する

まとめ

内窓のグレードは、断熱性能を表す指標であり、住まいの快適さや光熱費に直結します。SSグレードは真空ガラスを採用した最高性能、Sグレードはバランス型のLow-E複層ガラス、Aグレードは導入しやすい標準性能と、目的によって選び分けることが重要です。

補助金制度をうまく活用すれば、高性能なグレードでも費用を抑えつつ導入できます。施工品質や現地条件も効果を左右するため、信頼できる登録業者に依頼することがポイントです。性能・コスト・使いやすさを総合的に考え、自分の生活スタイルに最適な内窓を選びましょう。

断熱や防音などの性能だけでなく、快適な暮らしを支える「住まいの環境改善」として、内窓リフォームを長期的な視点で検討することが大切です。

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