和室の趣を保ちながら断熱や防音効果を高めたいと考える人が増えています。その選択肢として注目されているのが「障子風の内窓」です。見た目は障子のようでありながら、樹脂やガラスを使うことで強度や断熱性を両立できる点が特徴です。
この記事では、内窓障子の基本から価格の決まり方、メーカー別の特徴、補助金制度の活用方法までを整理して解説します。初めて内窓リフォームを検討する方にもわかりやすく、価格相場や見積もりの考え方を具体的に紹介します。どのような素材やタイプを選ぶと費用対効果が高いのか、暮ら
「内窓 障子 価格」をやさしく解説——基礎と全体像
まず、「内窓」と「障子」はどちらも室内側に設けられる建具ですが、その役割や構造には大きな違いがあります。障子は木枠に和紙を貼った伝統的な建具で、採光を柔らかくしつつ通気性を確保するのが目的です。一方の内窓は、既存の窓の内側にもう一枚ガラス窓を設けるもので、断熱・防音・結露対策などの機能性を高めるために取り付けられます。
最近は「障子風の内窓」が人気です。これは見た目が障子のように格子や和紙調ガラスを採用したタイプで、和室の雰囲気を保ちながら断熱性能を得られる点が支持されています。メーカー各社からも「和紙調」「荒間格子」などのデザインが登場し、和室リフォームの定番となっています。
価格が決まる仕組み：サイズ・ガラス種・枠材・施工費
内窓障子の価格は、主に「サイズ」「ガラスの種類」「枠材」「施工費」の4要素で決まります。例えば、高さ1.8m・幅1.6mの一般的な掃き出し窓であれば、単板ガラスでおよそ4万〜6万円、複層ガラス（ペアガラス）で6万〜9万円前後が目安です。断熱性能を高めたLow-Eガラスや防音ガラスを選ぶと、さらに価格が上がります。
また、枠材がアルミか樹脂かによっても価格が変動します。樹脂は断熱性能が高く結露しにくい一方、素材コストがやや高くなります。施工費には採寸や調整の人件費が含まれ、DIYの場合はここを節約できます。
初めての目安：1窓あたりの大まかな価格レンジ
小窓で3万〜5万円、中窓で6万〜8万円、大きな掃き出し窓では9万円以上が一つの目安です。ただし、これには設置環境や枠の形状、ガラスのグレードなど個別要因も影響します。そのため、同じサイズでも1〜2万円ほどの幅が生じるのが一般的です。
見積もりを取る際は、最低でも2社から比較することが大切です。見た目が同じでも、断熱性能や取付方法に違いがあるため、単価だけで判断すると後悔につながることがあります。
例えば、冬場の冷気対策を目的とする場合は複層ガラスが適しており、防音を重視するなら防音合わせガラスがおすすめです。このように目的から逆算して選ぶことで、費用と効果のバランスを取りやすくなります。
- 価格はガラスの種類とサイズで大きく変わる
- 断熱・防音など目的を明確にして選ぶのが基本
- 複数社の見積もり比較が費用把握の近道
タイプ別・素材別に見る内窓障子の特徴
次に、内窓障子のタイプや素材の違いを整理してみましょう。和室の雰囲気を大切にしたい方はデザイン性を、性能を重視する方はガラスや枠の性能を基準に選ぶと良いでしょう。メーカーごとに特徴が異なるため、比較しておくと納得感のある選択ができます。
意匠タイプ：和紙調ガラス/荒間格子/横繁などの違い
障子風内窓には、和紙調のすりガラスや格子デザインなど、いくつかのバリエーションがあります。和紙調ガラスは柔らかい光を取り込みつつ目隠し効果もあり、荒間格子は伝統的な和室に合います。横繁タイプはモダンな印象を与え、和洋折衷の空間にも調和します。
メーカー比較：YKK・LIXIL・三協アルミの強みと選び方
主要メーカーでは、それぞれ独自の特徴があります。YKK APの「プラマードU」は高い断熱性能とカラーバリエーションが特徴。LIXILの「インプラス」は和紙調ガラスや組子デザインが豊富で、和室との親和性が高いです。三協アルミの「プラメイクEⅡ」は施工性に優れ、DIYでも扱いやすい設計です。
ガラス種の比較：単板/複層/Low-E/防音/強化の向き不向き
単板ガラスはコストを抑えたい人向け、複層ガラスは断熱性能重視、Low-Eガラスは省エネ対策に最適です。また、防音ガラスは都市部や道路沿いの住宅に向いています。強化ガラスは安全性が高く、子ども部屋や来客の多い部屋で安心です。
枠材の違い：樹脂とアルミの性能差と価格差
樹脂枠は断熱性に優れ、結露を抑えやすいですが価格はやや高めです。アルミ枠は強度が高く、コストを抑えたい場合に適しています。和室の場合は木目調の樹脂枠が見た目と機能の両立に向いています。
| メーカー | 代表シリーズ | 特徴 |
|---|---|---|
| YKK AP | プラマードU | 断熱性能とカラーが豊富 |
| LIXIL | インプラス | 和紙調・組子デザインに強い |
| 三協アルミ | プラメイクEⅡ | 施工性が高くDIY向き |
例えば、和室全体をリフォームする場合には、LIXILのインプラスが意匠性の面で好まれます。逆に断熱性を最優先するならYKK APのプラマードUが適しています。目的や部屋の方角によって、最適な選択は異なります。
- 和紙調・格子などデザイン重視ならLIXILが有力
- 断熱・遮音を重視するならYKK APが人気
- DIY派は施工性の高い三協アルミが扱いやすい
価格表と見積もり徹底ガイド
内窓障子を設置する際、まず把握しておきたいのが価格表と見積もりのポイントです。サイズやガラスの種類によって価格は大きく変動するため、事前に目安を知っておくことが重要です。ここでは、代表的なサイズとガラス別の費用例を整理し、施工費用や合計額の考え方も解説します。
サイズ×ガラス別の参考価格帯を把握する
一般的な小窓（幅60cm×高さ90cm）では、単板ガラスで約3万円、複層ガラスで約4.5万円が目安です。中窓（幅90cm×高さ120cm）は単板で約5万円、複層で約7万円、大窓（幅160cm×高さ180cm）は単板で約9万円、複層で12万円程度となります。ガラスの厚みや断熱性能によってさらに変動します。
施工費の内訳：出張費・採寸・副資材・処分費の目安
施工費には採寸、設置作業、人件費、古い障子やガラスの処分費、副資材費などが含まれます。一般的な1窓あたりの施工費は1万5千円〜3万円程度です。DIYで設置する場合は施工費を節約できますが、水平や隙間調整を正確に行う技術が必要です。
複数窓や和室一室での合計コストの考え方
和室一室に内窓障子を3〜4窓設置する場合、ガラス・枠・施工費を合わせると総額で15万円〜25万円が目安です。メーカーや仕様によって上下しますが、複数窓をまとめて発注することで、施工費や配送費を抑えられるケースもあります。
事例別シミュレーション：小/中/大サイズで比較
例えば、小窓1つ＋中窓2つ＋大窓1つの場合、単板ガラス仕様だと約20万円、複層ガラス仕様なら約28万円です。断熱・防音を強化したい場合はさらに数万円上がります。複数の事例を比較して、予算感を具体的にイメージすることが大切です。
見積書の読み方：型番・ガラス記号・数量のチェック
見積書では型番、ガラス記号、窓の枚数や寸法が明記されています。同じ型番でもガラス種類が異なると価格が変わるため、必ず確認しましょう。また、オプションや施工費、送料が含まれているかもチェックすることが重要です。
- サイズ×ガラスで価格の目安を把握しておく
- 施工費や副資材費も見積もりに含まれる
- 複数窓設置時は総額シミュレーションで予算を確認
- 見積書の型番・ガラス種・枚数を正確に確認
- DIYと業者施工の違いを理解して費用対効果を判断
補助金・減税と支払い計画
内窓リフォームでは、国や自治体が実施する補助金制度や省エネ減税を活用できる場合があります。補助金を利用することで、実質的な費用を大幅に下げられるため、施工前に確認しておくことが重要です。
最新制度の全体像：窓リノベ等で対象になりやすいケース
2025年の窓リノベ補助金では、省エネ性能を高める内窓設置が対象となることがあります。特に、複層ガラスやLow-Eガラスを採用する場合、補助対象になりやすく、1窓あたり数千円〜2万円程度の補助が受けられます。
申請条件と対象工事：ガラス種・熱貫流率の基準
補助金を受けるには、ガラスの種類や枠材、熱貫流率（断熱性能の指標）が一定基準を満たす必要があります。また、工事内容が国や自治体の指定条件に沿っていることが求められます。事前に業者と確認することがスムーズな申請につながります。
もらえる金額の目安と上限の考え方
1窓あたりの補助金は数千円〜2万円程度が一般的ですが、複数窓設置時には合計で数万円〜十数万円になることがあります。補助金には上限があるため、複数窓をまとめて申請する場合は注意が必要です。
申請フロー：見積→契約→工事→実績報告の流れ
補助金申請の基本的な流れは、まず見積を取得し、必要書類を添えて申請→承認後に契約→工事実施→工事完了報告書の提出、という順序です。申請期限や書類不備により補助金が受けられないケースもあるため、スケジュール管理が重要です。
併用可否と注意点：地域助成・減税との関係
自治体ごとに独自の助成金や減税制度があります。国の補助金と併用できる場合もありますが、併用不可のケースもあるため、事前に確認しましょう。地域制度を活用することで、リフォーム費用をさらに抑えられることがあります。
- 補助金や減税制度を事前に確認する
- 断熱性能やガラス種の条件を満たす必要がある
- 複数窓の場合は上限額に注意
- 申請フローを理解してスムーズに手続きを行う
- 自治体制度との併用可否をチェックする
効果とデザインの実像：事例から学ぶ
内窓障子を設置すると、単なる見た目の変化だけでなく、暮らしの快適性にも大きな影響があります。ここでは、断熱・防音・結露対策の実例を紹介し、和室のデザインに与える効果も合わせて解説します。実際の事例を見ることで、自宅での使用イメージがしやすくなります。
断熱・結露・防音の体感差：季節別のポイント
冬は窓からの冷気を大幅に抑え、暖房効率を高めます。夏は外気の熱を遮断して冷房効率を向上させます。また、結露の発生を抑えるため、窓枠やガラスの水滴によるカビや腐食を防ぐことが可能です。防音性能も高く、外部騒音が気になる立地では静かな室内環境を作れます。
和室の雰囲気づくり：障子調デザインの活かし方
障子風の内窓は、和室の趣を損なわずに現代的な機能を加えることができます。和紙調ガラスや組子デザインを選ぶことで、採光や陰影の美しさを保ちながら、断熱性を強化できます。既存の障子と組み合わせることで、空間の統一感も出せます。
向く家・向かない家：方角/日射/既存サッシの状態
日当たりの強い南向きの窓や寒さが厳しい北向きの窓では、効果の実感が特に大きくなります。一方、元のサッシがアルミ単板で断熱性能が高い場合は、効果がやや控えめです。設置可能かどうかは、既存の窓の種類や寸法も確認する必要があります。
防犯や子育て面のメリット・留意点
内窓を二重にすることで、侵入しにくくなり、防犯面でも安心です。小さなお子さまがいる家庭では、手を挟みにくい構造や安全ガラスの選択が推奨されます。設置時には、通気や開閉のしやすさも考慮しましょう。
口コミや事例の読み解き方：宣伝と実体験を見分ける
施工事例やレビューには、宣伝目的の記事も混在しています。体感温度や防音効果の評価は、施工環境やガラス種、部屋の広さによって変わるため、複数の情報源を比較することが重要です。施工会社の写真や測定値がある場合は参考になります。
- 季節ごとの断熱・結露・防音効果を理解する
- 和室の雰囲気に合った意匠を選ぶ
- 窓の方角や既存サッシで効果に差が出る
- 防犯・子育て面の安全性も確認する
- 口コミや事例は複数比較して実感値を見極める
施工・DIY・メンテナンス
内窓障子の設置は、業者施工とDIYの両方が選択できます。業者に依頼する場合は正確な採寸と調整、施工保証が付くため安心です。一方、DIYの場合は材料費を抑えられますが、水平や隙間調整の精度が仕上がりに直結します。
プロ施工の段取りと工期の目安
業者施工の場合、採寸→見積→発注→施工の順で進みます。1窓あたりの施工時間は30分〜1時間程度で、和室1室の内窓設置なら半日〜1日で完了することが一般的です。施工後には隙間や建付けのチェックも行われます。
DIYの可否と難易度：採寸・水平出し・固定のコツ
DIYで設置する場合は、正確な採寸と水平出しが最重要です。枠が歪んでいると開閉に支障が出ます。ビス止めや固定用パーツの選び方も慎重に行い、作業中の安全にも注意します。簡単なタイプは、既成枠をはめ込むだけで設置可能です。
日常の掃除・保守：レール/パッキン/戸車のケア
内窓はレールや戸車にほこりが溜まりやすいため、定期的に掃除することで開閉をスムーズに保てます。パッキン部分は乾燥や汚れをチェックし、必要に応じてシリコーンスプレーなどでメンテナンスします。
和紙調の維持：フィルム/ガラスの傷対策と交換
障子風ガラスは傷が付きやすい場合があります。布や柔らかいスポンジでの掃除が基本です。傷や黄ばみが気になる場合は、ガラス交換やフィルム貼り替えで再生可能です。
よくあるトラブル事例と対処法（開閉重い・結露戻り等）
開閉が重くなる場合は、レールのほこり除去や戸車の調整が必要です。結露が戻る場合は、枠の隙間や通気不足が原因となることが多いため、換気やパッキンの確認が対処法となります。
- 業者施工は正確・保証付きで安心
- DIYは材料費節約だが精度が仕上がりに直結
- レール・戸車・パッキンの掃除で快適性を維持
- 傷や黄ばみはガラス交換やフィルム貼り替えで対応
- 開閉不良や結露戻りは調整・換気で解決
購入前の最終チェックリスト
内窓障子の設置を決定する前に、必ず確認しておきたいポイントを整理しておきましょう。採寸の正確さや見積もり内容、ショールームでの確認など、事前準備を徹底することで、後悔のない選択につながります。
採寸と開口条件：ふかし枠・干渉・納まりの確認
採寸は内窓設置の成否を左右します。ふかし枠や既存障子の干渉、サッシの納まりを確認してから発注することが大切です。採寸ミスを防ぐために、幅・高さ・奥行きの3点を正確に測り、必要に応じて複数回チェックしましょう。
見積比較のコツ：型番統一・ガラス種統一で横比較
複数業者から見積もりを取る場合、型番やガラス種を統一して比較すると、正確な価格差を把握できます。同じ仕様でも施工費やオプション費の内訳が異なることがあるため、詳細に確認することが重要です。
ショールーム活用：実機で確かめるべき5点
ショールームでは、開閉の滑らかさ、見た目の質感、採光、パッキンの手触り、そして防音・断熱効果の体感ができます。特に和室の光の入り方や格子の陰影は、写真ではわかりにくいため、必ず現物で確認することをおすすめします。
業者へ聞くべき質問例：保証・納期・追加費用
施工前には、保証内容、納期、追加費用の有無などを確認しておきましょう。特に追加工事が必要になるケースや、工事後の調整サービスについても質問しておくと安心です。
発注から設置当日までの準備物と段取り
発注後は、施工当日のスペース確保や家具移動、古い障子やカーテンの処理など、前もって準備しておくとスムーズです。工事の進行状況に応じて、施工業者と連絡を取りながら段取りを確認することが大切です。
- 採寸は幅・高さ・奥行きの3点を正確に測定
- 見積もり比較は仕様を統一して行う
- ショールームで開閉・質感・採光を確認
- 保証・納期・追加費用を業者に確認
- 施工当日の段取りと準備物を事前に整理
最新技術と内窓障子の未来
内窓障子も近年、性能やデザインの進化が進んでいます。断熱・防音性能をさらに高めたガラス、環境に配慮した樹脂材、そして先進的なデザインやスマート機能の導入が注目されています。将来的には、より快適で省エネな和室空間の実現が期待されます。
樹脂内窓とアルミの比較
最新の樹脂内窓は、従来よりも強度を確保しつつ断熱性を高めた製品が増えています。アルミ枠は耐久性が高く軽量で施工が簡単ですが、断熱性では樹脂に劣ります。用途や設置環境に応じて使い分けることが推奨されます。
環境に配慮した最新の内窓開発
省エネや再生可能素材を活用した内窓が開発されており、製造時のCO2削減やリサイクル性を意識した製品も登場しています。住宅の省エネ改修に貢献できるだけでなく、地球環境への負荷を低減する選択肢として注目されています。
未来の内窓デザイン、先進的な取り組み
格子デザインや和紙調ガラスの見た目を保持しつつ、開閉自動化やスマート家電連動など、新しい技術を取り入れた内窓も検討されています。デザイン性と機能性の両立が、今後の内窓のトレンドとなるでしょう。
- 樹脂内窓は断熱性重視、アルミは施工性と耐久性に優れる
- 環境配慮型素材や省エネ性能が進化中
- 自動開閉・スマート機能との融合が将来の課題
- 意匠と性能の両立が新しい和室リフォームのトレンド
- 技術進化で快適性と省エネを両立可能
まとめ
内窓障子は、和室の趣を保ちながら断熱・防音・結露対策を実現できる建具です。価格は窓のサイズ、ガラス種、枠材、施工費によって大きく変わります。代表的なメーカーとしてYKK AP、LIXIL、三協アルミがあり、それぞれ断熱性能や意匠、施工性に特徴があります。
設置前には、サイズの正確な採寸や複数社の見積もり比較、ショールームでの確認が重要です。補助金や減税制度を活用することで、費用を抑えることも可能です。施工は業者依頼が安心ですが、DIYも条件次第で選択できます。日常の掃除やメンテナンスを行うことで、長く快適に使用できます。
最新技術の導入により、断熱性や環境配慮、スマート機能付きの内窓も登場しています。目的や予算、設置環境に応じて最適な内窓を選ぶことで、和室をより快適で省エネな空間にリフォームできます。
