プラダン内窓レールを自作|断熱・結露・防音の効果とやり方
冬の冷気や夏の熱気がつらい、電気代がかさむ――そんなときは、プラダン(プラスチックダンボール)を使った「内窓レール」DIYが有力です。既存の窓を傷つけず二重構造をつくれるため、賃貸でも原状回復しやすいのが利点。材料はホームセンターで揃い、慣れれば1窓あたり30分ほどで取り付けられます。
・防火設備窓/避難経路/24時間換気口を塞がないこと。共用部は施工不可。
・結露が多い窓ではカビ対策と換気を併用。
・賃貸は管理会社・オーナーに事前承諾を推奨。
・工具使用時は手袋・保護メガネを着用し、安全第一で作業しましょう。
プラダン内窓レールとは?期待できる効果
上下レールでプラダンをガイドし、既存ガラスとの間に空気層を形成。熱の伝わりを抑えるほか、結露・騒音の低減も狙えます。効果は住戸条件(躯体・窓種・方位・気密)と施工精度に左右されるため、以下は目安としてご覧ください。
プラダンの特徴と厚みの選び方
- 厚み:2mm(軽量・小窓向け)、3〜4mm(標準)、5mm(高断熱・やや重い)
- 加工性:カッターで直線切りが容易。中空(ハニカム状)で軽い。
- 見た目:半透明〜透明。採光を保ちたいなら透明、目隠し兼用なら半透明。
二重構造のしくみ(断熱・防音・結露)
二重化でできる空気層が主役。熱伝導・対流・放射が抑えられ、室内側の表面温度上昇に寄与します。防音は主に高周波域で効きやすく、話し声など低周波は一部透過します。
光熱費削減の考え方(目安)
窓の断熱強化は暖冷房ロスを抑えます。条件が揃えば、設定温度を±2〜3℃調整しても快適性を保てる例があり、月々の電気代が数千円単位で下がるケースもあります(注1)。
必要な材料と選び方
材料一覧と費用目安(参考)
材料名 | 推奨仕様 | 参考価格帯 | 入手先の例 |
---|---|---|---|
プラダンシート | 910×1820mm/厚み3〜5mm | 約¥500〜¥1,000/枚 | ホームセンター |
上下レール | アルミ製 推奨(2m×2本〜) | 約¥800〜¥1,600/セット | ホームセンター/ネット |
強力両面テープ | 幅20mm×長さ10m 目安 | 約¥300〜¥800 | 100均/ホームセンター |
フレーム材 | 樹脂角材5×10mm等(軽量) | 約¥200〜¥600 | ホームセンター |
気密材 | ウェザーストリップ/シール | 約¥300〜¥1,000 | ホームセンター |
※価格は時期・地域・店舗で変動します(参考目安)。
どこで買う?店舗の使い分け
- ホームセンター(例:カインズ/コメリ):部材の選択肢が多く、レールや接着剤が一度に揃う。カットサービスの有無は店舗により異なる。
- 100円ショップ(例:ダイソー/セリア):小窓や試作向けに。サイズ・厚みの選択肢は少なめ。
- メーカー・専用品:精度や耐久性が高い反面、価格は上がりがち。長期運用や大型窓で検討。
採寸と設計(失敗しない基準値)
採寸は窓枠の内寸を基準に、縦・横・奥行きを各3点以上測定し、最小値を採用します。古い建物は歪みが出やすいので要注意。
- プラダン高さ=上下レール間隔−余裕(3〜5mm)
- プラダン幅=有効開口幅(干渉しない最大値)
- 上下レールの厚みは上下合計で差し引き計算に含める
カットとフレーム作り(コツと注意)
プラダンを真っ直ぐ切る
30°刃のカッター+金属定規で、軽い力で3〜4回に分けてなぞり切り。波目(中空方向)に垂直切りは潰れやすいので、定規を強めに押さえ、根気強く進めます。
フレームの組み立て
プラダン四辺に樹脂角材などで枠を作ると反りを抑制できます。角は45°留めか重ね継ぎ。接着は専用接着剤で圧着時間を確保し、総重量がレールの許容を超えないよう軽量材を選択。
レール取り付け(水平出し・隙間処理)
上下レールの位置決め
水平器で基準線を引き、仮止め→動作確認→本固定の順。上下レール間隔はプラダン高さ+3〜5mmの余裕で、開閉の渋さとガタつきのバランスをとります。
引き違いタイプのポイント
2枚を左右にスライドさせるタイプは、内外2列のレールを用意。重なりは約50mm確保すると気密と操作性の両立がしやすいです。
気密と結露のバランス
気密材(ウェザーストリップ/シリコンシール)で隙間を埋めると断熱に有利。ただし密閉しすぎると内部結露の温床になり得ます。換気と拭き取りを前提に、ほどよい気密を目指しましょう。
効果検証(実測例・条件明記)
- 室内温度:冬・外気5℃・暖房22℃設定の木造6畳で、窓際温度が設置前14.2℃→設置後17.8℃と上昇(注1)。
- 表面温度:赤外線温度計でガラス表面8.5℃→プラダン表面15.2℃に(同条件)。
- 騒音:道路沿い朝7時、等価騒音で約8〜12dB低下例(効果は環境により変動/注2)。
費用対効果とメンテナンス
初期費用と回収期間(目安)
項目 | プラダンDIY | 業者の内窓 |
---|---|---|
材料費(1窓) | 約¥2,500〜¥3,500 | ¥50,000〜¥80,000 |
工賃 | ¥0(自作) | 含む/別途 |
回収期間の例 | 光熱費削減が月¥2,000〜¥3,000なら数ヶ月〜1年程度 | 数年〜 |
※効果は環境・施工精度で変動。上記は一例の試算です。
耐久性と交換目安
- プラダン本体:約5〜7年(直射日光が強い窓は短くなりがち)
- レール:約7〜10年(摩耗具合で判断)
- 両面テープ:約3〜5年(結露・湿気で低下しやすい)
メンテ習慣
月1回の清拭、レールの埃取り、シール材の劣化チェック。必要に応じて部分交換すれば、長く安定して使えます。
賃貸での原状回復のコツ
- 施工前後の写真を保存(管理会社説明用)。
- テープ跡はシール剥がし剤→中性洗剤→乾拭きの順でケア。
- 養生テープで周囲を保護してから両面テープを貼ると、撤去がラク。
- 窓の可動範囲・鍵・防火ラベル等の機能を妨げないこと。
よくある失敗と対処(NG集)
- 採寸ミス:各辺3点測定・最小値採用。迷ったら1〜2mm小さめ→気密材で調整。
- レールの水平不良:水平器で基準線→仮止め→動作確認→本固定。
- 結露でテープ剥がれ:脱脂不足が原因。アルコールで拭き、乾燥後に施工。
- キツすぎ・緩すぎ:高さは+3〜5mm余裕を基準に再調整。
- 見た目が雑:切断面はヤスリで整える。枠色は窓枠と色合わせ。
まとめ
プラダン内窓レールは、低コストで短時間、しかも賃貸でも原状回復しやすい断熱対策です。断熱・結露・防音の体感改善が期待でき、条件が揃えば光熱費の削減にもつながります。採寸と水平出しを丁寧に、気密と結露のバランスを意識すれば、初めてでも十分に成功可能。まずは小窓で試し、コツを掴んでから全窓へ展開していきましょう。
注記(測定・価格の扱い)
- 断熱の実測例:冬季・外気約5℃、木造2階・6畳、暖房22℃設定、設置48時間後に赤外線温度計で測定。住戸や測定条件により結果は変動します。
- 騒音低下の目安:道路沿い等価騒音(A特性)での一例。騒音源・周波数・建物条件で効果は大きく変わります。
- 価格:記載は投稿時点の参考レンジ。店舗・地域・時期で変動します。