猫と暮らすご家庭では、部屋を自由に行き来できるキャットドアがあるととても便利です。しかし、賃貸住宅や引き戸の場合「穴を開けられない」「原状回復が心配」という方も多いのではないでしょうか。本記事では、穴開け不要で設置できるキャットドアの種類や取り付け方法を整理し、さらに気密性・断熱性を高める工夫について解説します。
冷暖房効率や結露防止の観点からも、キャットドア選びは快適な住環境づくりに直結します。特に引き戸タイプではサッシ構造やふすまの材質に応じた工夫が必要です。生活者の立場で調査した内容をもとに、実際の設置手順や失敗しやすいポイントも具体的に紹介します。
愛猫が快適に過ごせる空間をつくるための参考になれば幸いです。
キャットドア 穴開けない 引き戸の選び方(賃貸OKの基礎知識)
キャットドアを選ぶ際には、まず「穴開け不要」であること、そして「引き戸対応」であることが重要なポイントです。特に賃貸住宅では原状回復が求められるため、工事を伴わない設置方法が必須条件となります。
キャットドアとは何か:基本構造と用語
キャットドアとは、猫が自由に部屋を行き来できるように設けられた小型の通路です。一般的にはフラップ式(扉が押すと開くタイプ)が多く、引き戸やサッシに対応したパネル型も市販されています。ペットドアとも呼ばれ、犬用と共通で使える製品もあります。
「穴開けない」方式の仕組み(クランプ・突っ張り・差し込み)
穴を開けない方式にはいくつかの種類があります。サッシの溝に差し込むパネル型、突っ張り棒の原理を応用した固定型、粘着テープで仮固定するタイプなどです。それぞれ強度や見た目が異なるため、住環境に合わせた選択が必要です。
引き戸に向くタイプと向かないタイプ
引き戸は構造上、溝や戸車があるため、通常の開き戸用フラップは適さない場合があります。そのため、サッシ用に設計されたパネル型や薄型の貼り付け式が選ばれる傾向にあります。逆に、厚みのあるドア用フラップ型は不向きです。
賃貸で避けたいNG施工と原状回復の考え方
ビス止めや切り込みを入れる工事は、賃貸では基本的にNGです。退去時の修繕費用が高額になる可能性があるため、差し込みやテープ固定など、取り外し可能な方法を選ぶことが大切です。
サイズ計測:猫の体格・可動域・通行頻度
キャットドアのサイズは猫の体格に合わせる必要があります。成猫がスムーズに通れる寸法かどうか、加えて多頭飼いなら大きめを選ぶなど調整が必要です。頻繁に利用するなら耐久性も確認しておきましょう。
例えば体重5kgの成猫であれば、開口部の高さは25cm程度あるとスムーズに通れます。小柄な猫の場合は20cm前後でも十分ですが、子猫の成長を考えると大きめを選んだ方が安心です。
- 賃貸では「穴開けない」方式が必須
- 引き戸はパネル型や薄型が適している
- 原状回復を意識して施工方法を選ぶ
- 猫の体格に合ったサイズ計測が重要
穴開けない取り付け方法(サッシ・ふすま・室内引き戸別)

次に、実際に穴を開けずにキャットドアを設置する方法を見ていきます。サッシやふすまなど、引き戸の種類によって適した固定方法が異なります。
アルミサッシ溝に差し込むパネル型
アルミサッシ用のパネル型は、既存のレールに差し込むだけで設置できるのが特徴です。工具不要で設置可能ですが、サッシの高さや幅に合った製品を選ばなければ隙間ができ、気密性が下がる恐れがあります。
ふすま・木製引き戸に貼付・はさみ込みで固定する方法
和室のふすまや木製の引き戸には、両面テープやはさみ込み式のキャットドアが有効です。取り外しは簡単ですが、粘着跡が残る可能性があるため、養生テープなどを併用して下地を保護すると安心です。
網戸対応フラップの選び方と注意点
夏場に網戸で通路を確保する際には、専用のフラップ型を利用できます。ただし網の強度が低いと破れやすいため、補強パーツ付きやペット対応の網戸と組み合わせて使用するのが望ましいです。
工具不要タイプの固定強度を高めるコツ
差し込み式や突っ張り式は便利ですが、強度不足でズレやすいのが難点です。滑り止めパッドや補助金具を使うことで安定性を高められます。特に活発な猫の場合は補強が必須です。
原状回復のための養生・保護テープ運用
テープ貼付型では、直接貼ると表面を傷める場合があります。事前に養生テープを下地として貼り、その上から強力テープを使うと、撤去時にきれいに戻せます。賃貸物件ではこの工夫が大切です。
取り付け対象 | おすすめ方式 | 注意点 |
---|---|---|
アルミサッシ | 差し込み式パネル型 | サイズ測定を正確に |
ふすま・木製引き戸 | 両面テープ貼付/はさみ込み | 粘着跡防止の養生を必ず |
網戸 | フラップ式 | 補強パーツ必須、破れ防止 |
- サッシにはパネル型が安定して便利
- ふすま・木製はテープと養生で安全に
- 網戸は補強必須、破れ対策を忘れない
- 原状回復を意識した設置が賃貸向け
引き戸用キャットドアのタイプ比較と選定基準
引き戸に対応するキャットドアには、いくつかの方式があります。それぞれ特徴や価格帯が異なり、設置場所や使用環境に応じて最適なものを選ぶことが大切です。
パネル型(サッシ縦パネル)の特徴と適合サイズ
パネル型はアルミサッシの溝に縦長の板を差し込み、その下部にキャットドアを組み込んだ製品です。高さ調整ができるものが多く、原状回復も容易です。ただしサッシ寸法に合わないと隙間風が入りやすいため、採寸は慎重に行う必要があります。
フラップ扉型(貼付・ネジ止め不要タイプ)の特徴
両面テープや簡易的な固定で設置できるフラップ扉型は、ふすまや木製引き戸に使いやすいのが特徴です。軽量で安価ですが、固定が弱いと猫が押し破る可能性があり、耐久性には注意が必要です。
センサー/自動開閉型の仕組みと導入可否
首輪に装着したタグを読み取って開閉するセンサー式や、自動スライド式の高機能タイプも存在します。脱走防止や多頭飼い管理には有効ですが、設置には電源が必要で価格も高めです。賃貸での導入は制約がある場合が多いでしょう。
気密・断熱・遮音の比較ポイント
選定時に見落とされがちなのが気密性や断熱性です。安価なフラップ式では隙間風や音漏れが気になることもあります。モヘア(毛ブラシ状の隙間材)付きや二重構造の扉を選ぶと、冷暖房効率を維持できます。
価格帯・入手性・保証の見方
キャットドアの価格は3,000円台から2万円以上まで幅広いです。通販では安価な製品も多いですが、レビューや保証の有無を確認することが重要です。国内メーカー製は価格が高めですが、アフターサポートが手厚いのが特徴です。
Q1: パネル型は夏と冬で使い分けが必要?
A1: 通年使用できますが、冬は結露対策に追加の断熱材を併用すると快適です。
Q2: フラップ型は猫が怖がることはある?
A2: 扉のバネが強すぎると嫌がる猫もいます。軽く押せるタイプを選ぶのが安心です。
- 引き戸にはパネル型・フラップ型・自動型がある
- 気密・断熱性能は製品によって差が大きい
- 価格帯は3,000円〜20,000円超まで幅広い
- 設置環境に応じた選択が失敗を防ぐ
DIY取り付け手順と必要な道具

市販のキャットドアはDIYで取り付け可能な製品が多く、基本的な道具と採寸ができれば初心者でも設置できます。ここでは代表的な手順を紹介します。
購入前チェックリスト(採寸・戸厚・レール形状)
購入前には必ずサッシや戸の寸法を測りましょう。高さ・幅・厚みのほか、引き戸のレール形状も確認が必要です。規格外のサイズに無理に設置すると隙間風や不具合の原因になります。
仮置き・水平出し・固定の基本ステップ
設置前に仮置きをして水平が取れているか確認します。パネル型は高さ調整が可能ですが、ズレがあると戸の開閉に支障をきたします。固定はマニュアル通りに行い、緩みがないかチェックしましょう。
気密材・隙間テープ・モヘアの使い分け
冷暖房効率を考えるなら、隙間テープやモヘアを活用しましょう。特にサッシの隙間部分やフラップの接合部は空気漏れが発生しやすいため、補助材で補強すると快適性が向上します。
外れ止め・落下防止の追加対策
突っ張り式やパネル型では強く押すと外れることがあります。市販の補助金具やストッパーを追加することで、安定性を高められます。活発な猫ほどこの対策が有効です。
撤去と原状回復の手順
退去時にはテープや固定具を丁寧に外し、粘着跡を中性洗剤で落とします。サッシやふすまの表面を傷めないように、無理に剥がさず専用リムーバーを使うときれいに仕上がります。
作業工程 | ポイント | 必要道具 |
---|---|---|
採寸 | 高さ・幅・戸厚を正確に測定 | メジャー |
仮置き | 水平と位置を確認 | 水平器 |
固定 | マニュアル通りに確実に | プラスドライバー |
気密補強 | 隙間にテープを貼付 | 隙間テープ・モヘア |
原状回復 | 粘着跡をきれいに除去 | リムーバー・洗剤 |
- 購入前に寸法とレール形状を確認
- 仮置き・水平出しで失敗を防ぐ
- 隙間テープやモヘアで気密性を補強
- 撤去時は粘着跡に注意し原状回復
安全性・脱走防止と使い始めのトレーニング
キャットドアは便利ですが、安全性に配慮しないと事故や脱走の原因になりかねません。また、猫によってはすぐに慣れないこともあるため、段階的なトレーニングが大切です。
指はさみ・戸車干渉・挟み込みリスクの回避
引き戸とキャットドアの位置が近い場合、指や猫の体が挟まるリスクがあります。パネル型を設置する際には、戸の可動域と干渉しないか確認しましょう。戸車の動きを妨げない位置に設置するのも重要です。
脱走経路にならない導線設計(玄関・ベランダ周り)
キャットドアの設置場所が玄関やベランダに近い場合、猫が外へ出てしまう可能性があります。設置は室内同士の仕切りに限定し、外部に通じる導線は避けるのが基本です。
慣らし方:ごほうび導線・片開け運用・段階的クローズ
猫がキャットドアを怖がる場合は、最初に扉を固定して開けたままにし、通り抜けに慣れさせましょう。通過したらごほうびを与え、徐々に扉を閉じて押し開ける練習をするとスムーズです。
多頭飼い・子猫/シニア猫への配慮
複数の猫がいる場合、体格差や性格差を考慮する必要があります。小柄な子猫やシニア猫には開閉が重い扉は不向きです。軽量フラップやセンサー式の利用を検討すると良いでしょう。
季節別の運用(夏の網戸・冬の結露/冷気対策)
夏は網戸用フラップを活用して通気を確保しつつ、虫の侵入を防ぐ工夫が必要です。冬は断熱テープやモヘアで冷気を防ぐとともに、結露対策を兼ねて使用環境を整えることが推奨されます。
玄関に近い廊下にキャットドアを設置した家庭では、猫が外に出てしまわないように内側にベビーゲートを併用していました。物理的に二重の障壁を作ることで、安心して利用できるようになった事例です。
- 設置場所は必ず室内同士の仕切りを選ぶ
- 最初は扉を開けたまま慣らすとスムーズ
- 多頭飼い・子猫やシニアには軽量扉が安心
- 季節ごとの工夫で快適性を維持
よくある失敗とトラブル対策(実例ベース)
キャットドアは便利ですが、設置や使用において思わぬトラブルが発生することもあります。ここでは代表的な失敗例と対策を紹介します。
サイズ合わず通らない/怖がって使わない
サイズが小さすぎて猫が通れない、またはフラップを怖がって避けるケースがあります。サイズは成猫基準で選び、慣れない場合はおやつや遊びを活用して徐々に馴染ませましょう。
隙間風・冷気漏れ・結露の悪化
安価な製品では隙間風や冷気が入りやすく、冬場の結露を悪化させることがあります。隙間テープやモヘアを後付けし、必要に応じて二重フラップ構造の製品を選ぶのが有効です。
粘着固定の剝がれ・跡残り・表面傷
テープ固定型では粘着力が弱いとすぐに外れてしまいます。強力テープを選ぶと跡が残る可能性があるため、養生テープを下地に貼るなど原状回復を意識した工夫が必要です。
戸の開閉不良(レール干渉・戸車負荷)
サッシにパネルを差し込むタイプでは、戸車の動きを妨げて開閉が重くなることがあります。仮置きの段階で動作確認を行い、干渉部分は調整してから固定することが大切です。
ペットカメラ・見守りと併用する対策
留守中に猫がキャットドアを使えるか心配な場合は、ペットカメラで確認すると安心です。異常があれば早めに気づけるため、特に新しい環境ではおすすめの対策です。
トラブル例 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
猫が通らない | サイズ不足/慣れていない | 大きめを選ぶ/慣らし訓練 |
冷気が漏れる | 隙間の気密不足 | 隙間テープやモヘアで補強 |
粘着跡が残る | 強力テープの直接貼り | 養生テープを下地に活用 |
引き戸が重い | レール干渉/戸車負荷 | 仮置きで確認し調整 |
Q1: テープ固定がすぐ外れるのは製品不良?
A1: 製品不良よりも下地のホコリや油分が原因の場合が多く、清掃してから貼ると改善します。
Q2: 猫がドアを怖がって通らない時は?
A2: おもちゃやおやつを使って誘導し、成功体験を繰り返すことで徐々に慣れていきます。
- 失敗の多くはサイズ・固定・設置位置に起因
- 隙間風は補助材で改善可能
- テープ使用時は下地処理と養生が必須
- ペットカメラで安心して見守れる
製品候補と相場感:引き戸向けの選び方ガイド

ここでは、市販されている引き戸対応キャットドアの代表的な製品を紹介し、価格相場や選び方のポイントを整理します。通販での入手性や保証も含めて比較することで、より安心して導入できます。
国内主要メーカー/ブランドの傾向(例:DAIKENほか)
国内大手メーカー(例:DAIKEN、LIXILなど)は、建材メーカーならではの高品質と安全性が特徴です。断熱性や静音性に優れた製品が多く、価格はやや高めですが、長期使用に適しています。
サッシ用パネル型の代表例と適合条件
「ペットスルーもん」などのサッシ用パネル型は、アルミサッシに差し込むだけで設置でき、特に賃貸住宅で人気があります。高さ調整機能があり、既存のサッシ寸法に合えば隙間風も防げるのが利点です。
フラップ扉型・網戸用・自動型の比較早見
フラップ扉型は価格が安く設置が簡単ですが、気密性は低めです。網戸用は夏場の通気に便利ですが、耐久性に課題があります。自動型は高額ですが、脱走防止や特定の猫だけ通す用途に適しています。
通販での購入時チェック(返品条件・レビューの見方)
通販サイトでは安価な製品も豊富ですが、サイズ違いや強度不足のトラブルが少なくありません。返品条件やレビューを必ず確認し、「サイズが合わなかった」「すぐ壊れた」といった声を避けるのが賢明です。
費用の目安とコスパ判断軸
価格相場は以下の通りです。パネル型は10,000〜20,000円、自動型は30,000円以上する場合もあります。長期的な快適性と原状回復のしやすさを考えると、初期費用だけでなくランニングコストまで含めて判断しましょう。
タイプ | 価格帯 | 特徴 |
---|---|---|
フラップ扉型 | 3,000〜8,000円 | 安価で設置が簡単、気密性は低め |
サッシ用パネル型 | 10,000〜20,000円 | 賃貸向け、断熱性高め、原状回復しやすい |
網戸用 | 5,000〜12,000円 | 夏場の通気に便利、強度はやや不安 |
自動開閉型 | 30,000円〜 | 高機能、脱走防止に最適、設置は制約あり |
通販で購入した読者の声では「パネル型は冬の冷気を防げて助かった」「フラップ型は安いけど隙間風が気になった」といった感想がありました。購入時には住環境と予算を両立させるのが大切です。
- 国内メーカー製は高品質・高価格で安心
- サッシ用パネル型は賃貸でも人気
- フラップ型・網戸用は安価だが耐久性注意
- 自動型は高額だがセキュリティに有効
- 通販購入時は返品条件とレビュー必須確認
まとめ
キャットドアを「穴開けない方法」で引き戸に設置するには、サッシ用パネル型や貼付型、網戸用フラップなど複数の選択肢があります。特に賃貸住宅では原状回復を意識し、工事不要の方式を選ぶことが基本です。さらに、気密性や断熱性を補強することで冷暖房効率を高め、快適な住環境を維持できます。
設置にあたっては、採寸の正確さや固定方法の工夫が欠かせません。粘着跡や隙間風といったトラブルは、養生テープや隙間テープを活用することで防げます。また、猫が安心して使えるように、慣らしトレーニングや脱走防止策も合わせて検討しましょう。
最適なキャットドアを選び、正しい方法で取り付けることができれば、猫と飼い主双方にとって快適で安全な暮らしが実現します。今回紹介したポイントを参考に、ご家庭に合ったキャットドアを導入してみてください。