「冬の寒さや光熱費の高さがつらい」「結露がひどくてカビが心配」――そんな賃貸住まいの悩みは、木枠の内窓(いわゆる二重窓)をDIYで追加することで、原状回復を保ちながら軽減できます。
この記事は、生活者の視点で実際に試した方法と、賃貸ならではの注意点を整理したものです。穴あけなし・接着固定を避ける・撤去時に跡を残さない――この三原則をベースに、材料選びから手順、失敗回避のコツまでをまとめました。光熱費の削減や結露の軽減は条件や住戸の断熱性能により差が出ますが、適切な施工で体感的な改善が期待できます。
内窓(二重窓)の基礎と期待できる効果
既存窓の室内側にもう一枚の窓を設けて空気層を確保し、熱の出入りや表面温度の低下を抑えます。適切に施工すると、窓際の体感温度上昇・結露の軽減・冷暖房効率の向上が期待できます。数値効果は外気温・方位・既存窓仕様で変わるため、金額・%はあくまで目安として扱ってください。
賃貸で失敗しないための材料と考え方
基本材料(例)
材料名 | 仕様の目安 | 用途 |
---|---|---|
杉・檜など角材 | 30×40mm前後 | 木枠フレーム |
押さえ用細角材 | 10〜12mm角 | 透明板の固定 |
透明板 | アクリル板3〜5mm or ガラス5mm | 開口部 |
金具 | 丁番・マグネットキャッチ等 | 開閉・保持 |
隙間テープ | EPDM等 2〜3mm | 気密確保 |
養生+剥がせる両面テープ | 建築用養生テープ+低残渣タイプ | 原状回復固定 |
ポイント:木材は反りの少ない乾燥材(KD)を選ぶと仕上がりと気密が安定します。透明板は安全性を重視するならアクリル、耐擦傷や質感はガラスが有利です。

固定の原則(原状回復)
窓枠に直接テープを貼らず、①窓枠に養生(マスキング)→②その上に剥がせる両面テープ→③レールや受け材の順で貼ります。撤去時は養生ごと剥がすだけで痕跡を最小化できます。長期使用前に目立たない箇所で1週間テストを。
【手順】木枠内窓の作り方
1. 採寸と設計
- 各辺3カ所+対角線を測り、最小寸法を採用。
- 完成寸法は開口内寸から5〜10mmの逃げを確保して調整余地を持たせる。
2. フレーム製作
直角を最優先。木工用ボンド+木ねじで四辺を組み、対角差は3mm以内に調整。必要に応じてクランプで保持。
3. 透明板のはめ込み
溝に薄くシーラントを入れてから板をセットし、押さえ材で固定。ねじは割れ防止の下穴を。
4. 取り付け(賃貸仕様)
開口上下に養生テープ→その上に剥がせる両面テープ→受け材・レールを固定。内窓本体をはめ、隙間テープで気密を仕上げます。
チェック項目 | 許容目安 | 対策 |
---|---|---|
対角差 | 3mm以内 | 締め直し/再カット |
平面度 | 2mm以内 | 反り材は交換 |
隙間の均等 | 1mm以内 | スペーサー追加 |
予算別プラン(目安)
予算 | 構成 | 期待できる体感 | 耐用の目安 |
---|---|---|---|
〜1万円 | 軽量枠+アクリル3mm | 結露軽減・窓際のヒヤッと感減 | 3〜5年 |
〜2万円 | 木枠+アクリル5mm | 気密向上・冷暖房効率の改善 | 5〜8年 |
〜3万円 | 木枠+ガラス5mm | 質感と耐久の両立 | 8〜12年 |

メンテと撤去(原状回復)
定期点検
- 季節の変わり目に開閉と気密をチェック(木は湿度で動く)。
- 隙間テープは潰れたら交換。板の清掃は中性洗剤+柔らかい布。
撤去手順
- 装飾材・隙間テープから外す。
- テープ面はドライヤーで温めつつゆっくり剥がす。
- 糊残りはプラヘラ→市販のり落とし剤(目立たない所で事前試験)。
よくあるつまずきと対策
- 採寸ミス:最小値採用+5〜10mmの逃げ。
- 気密不足:コーナーは重ね貼り/専用コーナーパーツ。
- カーテン干渉:厚み分の奥行きを設計段階で確保。
まとめ
賃貸でも、養生+剥がせる固定と穴あけ回避を守れば、木枠内窓のDIYで体感温度・結露・冷暖房効率の改善が見込めます。管理規約と貸主承諾をクリアし、安全に配慮して進めましょう。数値効果は住戸条件で変わるため、“目安”として期待値を設定し、実測で確かめるのが賢い進め方です。