内窓リフォームを検討するとき、候補として必ず名前が出るのがLIXILの「インプラス」とYKK APの「プラマードU」です。どちらも国内大手メーカーの主力製品で、断熱・防音・結露対策として広く採用されています。
この2製品は構造が非常に似ており、断熱性(H-5等級)・気密性(A-4等級)・遮音性(T-4等級)といった基本性能はほぼ同等です。ただし、取付枠の奥行き寸法、フレームカラーのラインナップ、独自機能の有無など、細部には明確な違いがあります。
この記事では、主な違いを項目ごとに整理し、どちらを選ぶとよいかの判断基準をまとめます。
インプラスとプラマードUの基本性能を比べる
最初に知っておきたいのは、両製品の基本性能がJIS規格の等級で評価されており、その等級がほぼ一致しているという点です。
断熱・気密・遮音の等級は同一
インプラスもプラマードUも、断熱性H-5等級、気密性A-4等級、遮音性T-4等級という同じ等級を持っています。Low-E複層ガラス(空気層12mm以上)を組み込んだ場合の熱貫流率は1.5以下で、どちらも条件が揃えば同等の断熱効果を発揮します。
遮音性能T-4等級は、おおよそ-40dBの遮音量に相当します。交通量の多い交差点周辺の騒音レベルを、図書館程度の静けさまで下げられる目安です。断熱・防音どちらの目的でも、製品の性能値だけで比較する限り差はありません。
耐風圧性能だけ数値が異なる
唯一の性能値の違いは耐風圧性能で、インプラスが400Pa、プラマードUが600Paです。内窓は室内側に設置されるため、強風に直接さらされる機会は少なく、一般的な住宅環境ではどちらも十分な耐風圧を持っています。
ただし高層階や吹きさらしの環境が気になる場合は、メーカー公式の仕様書や施工業者に設置環境を相談してから判断するとよいでしょう。
断熱性:インプラス H-5 / プラマードU H-5
気密性:インプラス A-4 / プラマードU A-4
遮音性:インプラス T-4 / プラマードU T-4
耐風圧:インプラス 400Pa / プラマードU 600Pa
性能よりも施工品質が体感を左右する
断熱・防音の効果を実際に体感できるかどうかは、製品選びだけでなく施工精度に大きく左右されます。取付枠が窓枠に正確にフィットしていないと、隙間から音や冷気が入り込み、カタログ値どおりの性能が出ません。
内窓はレール構造上、完全な密閉にはならないため、特に防音目的で高い効果を求める場合は、施工実績が豊富な業者に見積もりを依頼し、仕上がりの精度について具体的に確認しておくと安心です。
- 基本性能(断熱・気密・遮音)は両製品で同等
- 耐風圧性能のみプラマードUが上(600Pa対400Pa)
- 性能値は同じでも、施工精度が体感を左右する
- 防音・断熱どちらの目的でも、業者選びが重要な判断軸になる
取付枠の奥行きと窓枠寸法の違い
DIYや業者への依頼を検討する前に確認しておきたいのが、取付に必要な窓枠の奥行きです。インプラスとプラマードUで必要な寸法が異なるため、既存の窓枠の状態によっては選択肢が絞られることがあります。
引き違い窓で3mmの差がある
2枚引き違い窓の場合、インプラスは窓枠の奥行き70mm以上、プラマードUは73mm以上が必要です。3mmの差ですが、既存窓枠の奥行きが70mm台前半のケースでは、インプラスのみ対応できる場合があります。
開き窓・FIX窓ではインプラスが55mm以上、プラマードUのFIX窓は53mm以上で、こちらはプラマードUのほうが設置しやすい条件になります。窓の形状によって有利不利が逆転することがあるため、取付前に窓枠の奥行きを実際に計測しておくと判断が早くなります。
奥行きが足りない場合はふかし枠を使う
既存の窓枠の奥行きが必要寸法に満たない場合は、「ふかし枠」と呼ばれる延長部材を取り付けることで対応できます。ふかし枠は20mm・40mm・50mm・70mmなどのサイズが用意されており、窓枠の奥行きに応じて選びます。
ふかし枠を使うと部材費と作業工程が追加されるため、見積もり時にふかし枠が必要かどうかを業者に確認しておくとよいでしょう。インプラス・プラマードU双方で対応可能な部材が用意されています。
DIYで設置する場合の注意点
DIYで内窓を取り付ける場合、窓枠の奥行き計測と製品サイズの確認が最初の作業になります。取付枠の幅はインプラスが67mm、プラマードUが70mmで、これが奥行き必要寸法の基準となっています。
採寸のミスが発生しやすいのは、窓枠内側の縦・横寸法だけでなく奥行き(見込み寸法)を見落とすケースです。メーカー公式の施工マニュアルに採寸手順が記載されているため、発注前に必ず確認するとよいでしょう。
| 窓種 | インプラス(必要奥行き) | プラマードU(必要奥行き) |
|---|---|---|
| 引き違い窓(2枚建) | 70mm以上 | 73mm以上 |
| 開き窓 | 55mm以上 | 73mm以上 |
| FIX窓 | 55mm以上 | 53mm以上 |
- 引き違い窓では奥行きが70mm前後の場合インプラスが有利
- FIX窓ではプラマードUの方が必要奥行きが小さい
- 不足する場合はふかし枠で調整できるが、費用が追加される
- DIY時はメーカー公式の施工マニュアルで採寸方法を確認する
フレームカラーと独自機能の違い
性能値が同等であれば、次に気になるのがデザインと使い勝手です。両製品にはカラーラインナップや独自機能に差があり、設置する部屋の雰囲気や生活スタイルによって選びやすい方が変わります。
カラーは両方6色だが色味が異なる
インプラス・プラマードUともに居室用は6色展開です。インプラスはショコラーデ・キャラメルウッド・ニュートラルウッド・ライトウッド・グレー・プレシャスホワイト、プラマードUはダークブラウン・ミディアムオーク・木目ナチュラル・木目クリア・グレイ・ホワイトです。
同じ「ホワイト」でも色味が異なり、インプラスのプレシャスホワイトは純白に近い白、プラマードUのホワイトはやや落ち着いた白です。また、濃い茶系の色ではインプラスの「ショコラーデ」は木目模様なし、プラマードUの「ダークブラウン」は木目模様ありという違いがあります。実物のカラーサンプルを確認してから選ぶと安心です。
インプラス独自のダストバリア仕様

インプラスには「ダストバリア仕様」と呼ばれる独自機能があります。樹脂製のフレームは静電気が帯電しやすくホコリが付きやすいという特性がありますが、インプラスは帯電防止素材を練り込んだ樹脂を使用しており、ホコリが付着しにくい仕上げになっています。
白いフレームや明るい色のフレームを選ぶと汚れが目立ちやすいため、ダストバリア仕様はメンテナンスの手間を減らしたい場合に有効な選択肢です。プラマードUにはこの機能はありません。
プラマードU独自の戸先錠
プラマードUには「戸先錠」という独自仕様があります。窓の開け閉めと鍵の施錠が連動するため、窓を閉めると自動的に鍵がかかる仕組みです。従来のクレセント錠が不要になり、見た目がすっきりします。
ただし戸先錠仕様は、2枚建の引き違い窓のみ対応です。真空ガラス用フレームや浴室仕様の引き違い窓、その他の窓種には非対応となるため、設置する窓の形状を確認してから選ぶ必要があります。
インプラスのみ:ダストバリア仕様(ホコリが付きにくい帯電防止樹脂)
プラマードUのみ:戸先錠(窓の開閉と施錠が連動、2枚建引き違い窓のみ)
- ホワイト系の色味はインプラスが純白に近く、プラマードUはやや落ち着いた白
- ダストバリアはインプラスのみ、戸先錠はプラマードUのみの独自機能
- 戸先錠は2枚建引き違い窓のみ対応で、すべての窓種で使えるわけではない
- 実物のカラーサンプルはショールームや販売店で確認できる
和室用ガラスと補助金の違い
和室への設置を検討している場合や、補助金を活用してコストを抑えたい場合は、もう少し細かい違いも確認しておく必要があります。
和紙調ガラスの対応範囲に差がある
和室に内窓を設置する際によく選ばれるのが、和障子を模した「和紙調ガラス」仕様です。インプラスは複層(ペア)ガラスと単板ガラスの両方で和紙調ガラスを選べます。プラマードUは単板ガラスのみ和紙調ガラスに対応しており、複層ガラスの場合はすりガラス(すり板ガラス)仕様になります。
すりガラスは和紙調ガラスよりやや透明度が高く、向こう側がうっすら透けて見えます。和室の雰囲気をできるだけ忠実に再現したい場合は、複層ガラスでも和紙調を選べるインプラスが選択肢として有力です。
組子のデザインはプラマードUが2種類
和紙調ガラスと組み合わせる「組子」(格子状の装飾部材)のデザインはインプラスが1種類(荒間格子のみ)、プラマードUが2種類(荒間格子・横繁吹寄格子)です。和風インテリアにこだわりがある場合は、プラマードUの方がデザインの選択肢が広くなります。
いずれも樹脂製フレームに組子を組み合わせた製品であり、天然木のような素材感は得られません。ウッド質感にこだわる場合は、インプラスの上位ラインである「インプラス for Renovation」シリーズの確認もよいでしょう。詳細はLIXIL公式サイトの製品ページでご確認ください。
補助金対応の違い(FIX窓の場合)
内窓リフォームには国の省エネ補助金制度が適用できる場合があります。2025年度の先進的窓リノベ事業では、最高グレード(SSグレード)を受けるには真空ガラス(スペーシアクール)を組み込む必要がありました。インプラスは引き違い窓・FIX窓の両方でSSグレード対応でしたが、プラマードUはFIX窓タイプでSSグレードの対象外でした。
2026年度の補助金制度については、補助額や対象条件が変わる可能性があります。最新情報は環境省・資源エネルギー庁の公式ページ、または補助金申請を代行する施工業者に確認するとよいでしょう。
| 比較項目 | インプラス | プラマードU |
|---|---|---|
| 和紙調ガラス(複層) | 対応あり | すりガラス仕様 |
| 和紙調ガラス(単板) | 対応あり | 対応あり |
| 組子の種類 | 1種類 | 2種類 |
| FIX窓補助金最高グレード(2025年度) | 対応 | 非対応 |
- 複層ガラスで和紙調を選ぶならインプラスが有利
- 組子デザインの選択肢はプラマードUが多い
- 補助金の条件は年度ごとに変わるため、最新情報の確認が必要
- FIX窓に内窓を付ける場合は補助金グレードの違いも確認しておく
価格の目安と選び方のポイント
性能や機能が把握できたら、最終的な判断軸になるのが価格と施工業者の選び方です。定価ベースではプラマードUの方が高めに設定されていることが多く、割引後の実勢価格ではインプラスの方が安くなるケースが多いとされています。
定価と実勢価格の関係
内窓の価格は、窓のサイズ・形状・ガラスの種類・施工費用によって大きく変わります。同じ窓に同じガラスを組み込んだ場合、インプラスとプラマードUの定価に大きな差はありませんが、割引後の実勢価格ではインプラスの方が安くなりやすい傾向があります。
ただし、施工業者によってガラス代・施工費・諸経費の計算方法が異なるため、見積もりの総額で比較することが大切です。割引率の数字だけに注目すると、割引前の設定価格が業者によって異なるため、実際の支払い額が変わることがあります。
業者の専門性が仕上がりを左右する
LIXILを主に扱う施工店ではインプラスを、YKK APを主に扱う施工店ではプラマードUをすすめることが多い傾向があります。製品の優劣というよりも、業者が得意とするメーカーの製品を使う方が施工精度が安定しやすいためです。
業者を選ぶ際は、施工事例の数・口コミ・アフターフォローの内容を確認することが判断の参考になります。取付後に気密が保てていないと感じた場合は、まず施工業者に相談し、原因を確認してもらうとよいでしょう。
ミニQ&A
Q. インプラスとプラマードUはどちらが安いですか?
定価ベースではほぼ同水準ですが、割引後の実勢価格ではインプラスが安くなりやすい傾向があります。ガラスの種類や窓サイズによって変わるため、複数の業者で見積もりを取って総額で比べるとよいでしょう。
Q. DIYで取り付ける場合、どちらが設置しやすいですか?
引き違い窓では必要な窓枠の奥行きがインプラスの方が3mm小さく、既存の窓枠が浅めの場合に対応しやすい場合があります。いずれもメーカー公式の施工マニュアルを必ず確認してから作業してください。
- 総額での価格比較が重要で、割引率だけで判断しない
- LIXILを得意とする業者ならインプラス、YKK APならプラマードUの施工精度が安定しやすい
- 見積もりは複数社で取り、施工実績・口コミを確認する
- 取付後の不具合は早めに施工業者へ相談する
まとめ
インプラスとプラマードUは、断熱・気密・遮音の基本性能が同等で、どちらを選んでも同水準の断熱・防音効果を期待できます。
選び方の判断基準は、取付枠の奥行き条件・フレームカラーの好み・ダストバリアや戸先錠などの独自機能の必要性に絞られます。まず既存の窓枠の奥行きを計測し、インプラスとプラマードUのどちらが無理なく設置できるかを確認するところから始めるとよいでしょう。
内窓はどちらの製品を選んでも、施工品質が体感を大きく左右します。製品の比較と合わせて、施工実績が豊富な業者に相談することが、満足度の高い内窓リフォームにつながります。

