サッシ寸法 規格表を見ても、数字が「そのまま製品の実寸」だと思って進めるとズレやすいです。サッシは納まり(壁や柱との取り合い)を前提に、呼称・内法・外法など複数の基準が併記され、目的の寸法が人によって食い違いがちです。
この記事では、規格表に出てくる呼称記号の意味、内法と外法の違い、そして規格表から現場の必要寸法に落とす手順を、順番にほどきます。新築・リフォームどちらでも使えるよう、採寸点の固定や例外の考え方も合わせて整理します。
結論だけ先に言うと、規格表は「標準の考え方」を掴むための地図で、最終決定は品種とメーカー仕様で詰めます。呼称に引っ張られず、どの基準寸法を扱っているかを揃えるだけで、発注前の不安がかなり減ります。
サッシ寸法 規格表の見方|「呼称」と実寸のズレをほどく
規格表で最初に揃えるべきは、呼称・内法・外法・開口のどれを見ているかです。ここが曖昧なままだと、同じ数字でも別物を比較してしまい、ズレの原因になります。
「呼称寸法」は実寸ではない|まず前提をそろえる
規格表にある16520のような呼称は、製品の外形そのものを指すとは限りません。幅や高さをmmで表したときの桁を使い、WとHを並べた「呼び方」として扱われます。
そのため、同じ呼称でもシリーズや納まりの想定が違うと、実際の外法寸法(外形)や内法寸法(有効な開き)が変わることがあります。呼称はまず照合の起点、と覚えると迷いにくいです。
内法・外法・開口(木部開口)|どの寸法を見ているか
内法は、枠の内側で有効に使える幅や高さの基準です。外法は、サッシ枠の外形寸法で、取り付ける部材としての大きさに近い考え方になります。
さらに現場では、木部開口寸法(開口)も重要です。柱やまぐさで作る開口に対し、クリアランス(逃げ)を見込んでサッシ外法を決める流れになるため、どの寸法を目標にしているかを先に決めます。
規格表の記号を読む|W/Hの並びと数値の意味
規格表では、W方向(幅)とH方向(高さ)が別々に整理され、交点に呼称記号が置かれる形式がよくあります。例えばW1650付近とH2030付近の交点に16520が並ぶ、といった見え方です。
ただし、同じW帯でも3尺系・4.5尺系などの区分があり、入隅用のように基準寸法から引いた別設定も混じります。表の注記にある「品種で規格設定が異なる」を必ず前提に置きます。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 呼称(例:16520) | W→Hの順で並ぶ「呼び方」。実寸の確定には仕様確認が要る |
| 内法 | 枠の内側の有効寸法。採光や通風のイメージに直結する |
| 外法 | サッシ枠の外形。開口との取り合い、搬入や交換で重要 |
ミニQ&A:呼称と実寸が違うのは不良ですか。違いは仕様の範囲で、規格表は考え方を示す位置付けです。最終は品種とカタログ寸法で確定します。
ミニQ&A:内法だけ分かれば足りますか。内法は便利ですが、取付は外法と開口が基準になります。採寸点を揃えないと発注でズレやすいです。
- 呼称は実寸ではなく、照合の起点として扱う
- 内法・外法・開口のどれを見ているかを先に決める
- 規格表は注記まで読む。品種や納まりで設定が変わる
- 最終寸法はメーカー仕様と突き合わせて確定する
規格表から現場寸法へ落とす手順|採寸と照合のコツ
規格表を現場で使うコツは、採寸点を固定してから「差し引き」の順に考えることです。いきなり呼称を決めるより、開口と納まりから逆算すると精度が上がります。
最初に決めるのは「どこを測るか」|採寸点を固定する
採寸は、開口(柱とまぐさで囲まれた木部の寸法)か、既存枠の外形か、どちらを基準にするかで手順が変わります。新築は開口基準、交換は既存枠基準になりやすいです。
同じ「幅」でも、室内側の仕上げ面で測るのか、構造材の内々で測るのかで数十mmずれます。メモには「どの面からどの面まで」を必ず書き、写真とセットで残します。
枠見付・クリアランス|差し引きの考え方
開口寸法からサッシ外法を決めるときは、左右や上下のクリアランス(取り付けの逃げ)を見込みます。規格の考え方では、左右や上部に一定の逃げを置く例が示されています。
ここで重要なのは、見付(枠の見える幅)を含んだ逃げとして扱われることがある点です。表の数値だけを鵜呑みにせず、納まり図で「どこが隠れてどこが当たるか」を確認して差し引きします。
品種で規格が変わる|小窓・入隅・掃出しの例外
規格表には、入隅用として基準寸法から50mmや150mm引いた設定が混じる場合があります。これは壁の入隅に寄せる納まりで、枠の逃げや取り付け条件が変わるためです。
また小窓は、割付や部材構成の都合で「一般の方式によらない」とされることがあります。掃出しも床の基準面や下枠見付で前提が変わるため、同じ呼称でも納まり条件の確認が必要です。
呼称は最後に当てはめて整合を取る
例外(小窓・入隅・掃出し)は注記と納まり図で先に潰す
具体例:開口W1820mmの想定で、左右の逃げを合計50mm見込むと内法基準は1650mmの帯になります。ここに枠の条件が乗って外法が決まるため、呼称は16520など候補を出したうえで仕様で確定します。
- 採寸は「どの面からどの面まで」を固定して記録する
- 開口→クリアランス→外法→呼称、の順に考える
- 見付や納まりで差し引きが変わるため図面で確認する
- 小窓・入隅・掃出しは例外になりやすく先にチェックする
サッシの種類別に違うポイント|引違い・すべり出し・FIX
同じ呼称でも、引違い・すべり出し・FIXでは部材構成や金物が違い、必要な余裕や確認点が変わります。規格表を読むときは、品種ごとの「ズレやすい場所」を先に押さえるのが近道です。
引違いは呼称が多い|同じWでも設定が複数ある
引違いは最も一般的なため、W帯ごとのバリエーションが多く、同じ呼称に見えても設定が複数あることがあります。網戸レールや召合せ部の構成、障子の重なり量が違うと、内法や有効開口が変わるためです。
また、左右どちらを引き残すかで使い勝手が変わるのに、規格表は寸法だけで表現されがちです。実寸を確定する段階では、引手位置や網戸の納まりも含めて、品番単位で仕様を合わせます。
すべり出し・縦すべりは金物で余裕が変わる
すべり出し窓や縦すべり窓は、ヒンジやステー(開閉を支える金具)の動きに必要な逃げがあるため、枠内の有効寸法が引違いと同じ感覚になりません。障子が回転する分、網戸の方式や把手の位置も影響します。
規格表だけでは、開閉角度やハンドルの干渉までは読み取りにくいので、納まり図で「どこが当たる可能性があるか」を確認します。特に室内側のカーテンやブラインドが近い場合は、寸法より先に干渉条件を揃えると失敗を避けられます。
FIXはガラス寸法が効く|見込みと納まりを確認
FIXは動かない窓ですが、ガラスの厚みや押縁(ガラスを固定する部材)の構成で見込み(奥行き方向の寸法)が変わります。見込みが変わると、壁厚や額縁の納まりが変わり、同じ呼称でも取り合いが揃わないことがあります。
また、断熱仕様で複層ガラスが前提になると、ガラス溝やスペーサーの条件が絡みます。規格表はW/Hを中心に示すため、FIXでは見込み方向の寸法表や仕様表も合わせて確認し、取り付け面の基準をはっきりさせます。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 引違い | 呼称の種類が多く、網戸や召合せ構成で内法が変わりやすい |
| すべり出し系 | 金物の動きに必要な逃げがあり、干渉条件の確認が重要 |
| FIX | ガラス仕様と見込みが効くため、W/H以外の表も合わせて見る |
具体例:同じ高さ帯でも、引違いは網戸レール込みの枠構成になりやすく、すべり出しは把手の位置で室内側の余裕が変わります。FIXは見込みが深い仕様だと額縁が合わず、開口は合っていても納まりで困ることがあります。
- 品種ごとにズレやすい寸法の方向が違う
- 引違いは呼称の設定数が多く、仕様の取り違えが起きやすい
- すべり出し系は干渉条件を先に確認する
- FIXは見込みとガラス仕様を合わせて確定する
メーカー・シリーズ差の確認術|同じ呼称でも揃わない理由
サッシはメーカーやシリーズごとに、想定する納まりや部材構成が少しずつ違います。規格表で呼称が一致しても、アングルの有無や枠形状で実寸が揃わないことがあるため、確認の順序を決めて進めます。
カタログ優先の理由|規格表は「考え方」を示す
規格表は、呼称と寸法帯の対応を素早く把握するための資料で、詳細寸法の確定はカタログの寸法表や納まり図が前提になることが多いです。これは、同じ呼称でも枠形状や気密部材の違いで、実寸が変わるためです。
規格表で候補を絞ったら、次はカタログで「外法」「内法」「開口」のどれが掲載されているかを確認し、必要なら図面に落として突合します。資料の役割を混ぜないだけで、判断が安定します。
アングル付・アングル無|同呼称でも納まりが違う
アングル(壁の仕上げと取り合う見切り部材)の有無は、納まりに直結します。アングル付は仕上げの取り合いが作りやすい反面、枠まわりの見付や取り付け面の基準が変わることがあります。
一方、アングル無は納まりの自由度が上がる反面、施工側で見切りや防水の考え方を揃える必要があります。呼称だけで選ぶと、現場の納まりに合わず、後から額縁や見切り材で調整が必要になることがあります。
交換・リフォーム|既存枠の条件で選択肢が変わる
リフォームでは、既存枠の状態や周辺の仕上げが制約になります。外壁側の取り合い、防水の納まり、室内側の額縁寸法が決まっているため、新築と同じ手順で呼称を当てはめるとズレが出やすいです。
特に、既存枠の歪みや下枠の沈みがあると、図面上は合っていても現物が合わないことがあります。交換は採寸点を「既存枠のどの面か」で固定し、必要なら複数点を測って最小値を基準に検討します。
アングル付・無は同呼称でも納まりが変わる
リフォームは既存条件を最優先し、複数点採寸で判断する
ミニQ&A:別メーカーの同呼称に置き換えできますか。呼称が同じでも枠形状やアングル条件が違うことがあります。納まり図で取り合いを確認してから判断します。
ミニQ&A:シリーズ違いでも同じ品番感覚で選べますか。シリーズで断熱仕様や枠構成が変わると、見込みや内法が変わる場合があります。用途と納まりを揃えて比較します。
- 規格表は候補整理、確定は寸法表と納まり図で行う
- アングルの有無は納まりを左右し、実寸の揃い方にも影響する
- リフォームは既存条件が最優先で、複数点採寸が基本
失敗しやすい点と対策|発注前チェックリスト
サッシの寸法違いは、作り直しや工期のロスにつながりやすい分、発注前に「取り違えやすい項目」を潰すのが重要です。ここでは、現場で起きやすいミスと対策を、確認順にまとめます。
測り間違いの典型|開口と内法を取り違える
最も多いのは、開口寸法と内法寸法を混同するケースです。開口は構造材で囲まれた寸法、内法は枠の内側の寸法で、基準面が違います。数字が近い帯に見えるため、メモが曖昧だと取り違えが起きやすいです。
対策は、採寸値に必ず「基準面」を添えることです。例えば「柱内々」「既存枠外々」「仕上げ面内々」など、言葉で残します。写真にメジャーを当てた状態を残すと、後で確認しやすくなります。
現場の誤差と許容|微差を吸収する考え方
現場は直角や水平が完全ではなく、同じ開口でも上下で数mmから十数mm違うことがあります。図面寸法だけで決めると、現物に合わせた逃げが足りず、枠が入らない、もしくは隙間が大きいといった問題が出ます。
対策は、複数点の採寸で「最小値を基準にする」考え方と、必要なクリアランスを先に見込むことです。微差の吸収は、施工側の調整で可能な範囲と、製品側で確保すべき範囲に分けて整理します。
最終確認の順序|図面・現物・品番の突合
最後にズレが出るのは、寸法が合っていても品番や仕様の取り違えがある場合です。例えばアングルの有無、ガラス仕様、網戸方式、把手の位置などが違うと、納まりや使い勝手が変わります。
対策として、確認は「現物条件→寸法→仕様→品番」の順に並べます。現物条件が先に固まっていれば、寸法と仕様の判断がぶれません。チェックリストを作り、担当者が変わっても同じ順序で突合できる形にします。
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 採寸メモ | 基準面(柱内々、枠外々など)を言葉で残し、写真も添える |
| 誤差の扱い | 複数点採寸で最小値を基準にし、逃げの考え方を先に決める |
| 最終突合 | 現物条件→寸法→仕様→品番の順で確認し、取り違えを防ぐ |
具体例:幅は合っているのに入らない場合、左右の逃げが不足していることがあります。逆に隙間が大きい場合は、開口ではなく仕上げ面の寸法で決めてしまい、想定より小さい外法を選んでいることがあります。
- 開口・内法・外法を混同しないよう、基準面を必ず記録する
- 複数点採寸で最小値を基準にし、逃げを先に設計する
- 仕様の取り違えを防ぐため、確認順序を固定する
- 寸法だけでなく納まりと干渉条件まで含めて突合する
まとめ
サッシ寸法 規格表は、呼称と寸法帯の対応を素早くつかむための地図ですが、数字がそのまま実寸を意味するとは限りません。まずは呼称・内法・外法・開口のどれを見ているかを揃え、同じ基準同士で比較することが大切です。
現場での進め方は、採寸点を固定し、開口と納まりを確認してから、クリアランスを見込んで外法を決め、最後に呼称へ当てはめる順序が安定します。小窓や入隅、掃出しのような例外は注記と納まり図で先に潰すと、後戻りが減ります。
さらに、メーカーやシリーズ差、アングルの有無、リフォームでの既存条件などで同じ呼称でも揃わないことがあります。規格表で候補を絞ったら、寸法表と納まり図で仕様まで含めて確定し、発注前は「現物条件→寸法→仕様→品番」の順で突合すると失敗を防ぎやすくなります。
当ブログの主な情報源
- 国土交通省(住宅・建築関連の基準、制度情報)
- e-Gov法令検索(建築基準法、関連法令)
- JIS(日本産業規格)関連情報(建材・寸法・試験方法の基準)
- 主要サッシメーカー公式カタログ(寸法表、納まり図、仕様表)
- 業界団体・専門機関の公開資料(建具、開口部、防水・断熱の技術資料)

