積水ハウスの断熱材の厚さは、壁・天井・床のそれぞれで異なり、採用する工法や断熱グレードによって変わります。「標準仕様のままで冬は本当に暖かいのか」「断熱等級6や7を目指すにはどこを変えればいいのか」という疑問は、家づくりを検討する多くの方が直面するポイントです。
積水ハウスは軽量鉄骨造と木造(シャーウッド)で断熱構成が異なります。さらに1〜7地域に分かれた省エネ地域区分に合わせて仕様が設定されており、同じ「標準仕様」でも建てる地域によって断熱材の厚みや種類が変わる仕組みになっています。断熱等級・UA値・各部位の厚さの関係を順番に整理していきます。
この記事では、積水ハウスの断熱材の標準的な厚さと部位ごとの素材、断熱グレードの選択肢、そして等級を上げる際に優先すべきポイントを、公式資料や業界の一般的な知見をもとに整理しました。家づくりの比較検討や仕様確認の参考として活用してください。
積水ハウスの断熱材厚さの基本を押さえる
積水ハウスの断熱材の厚さは、部位(壁・天井・床)と建物の構造(軽量鉄骨造・木造)、建設地の省エネ地域区分によって設定が異なります。この章では標準仕様を中心に、各部位の素材と厚さの目安を整理します。
軽量鉄骨造の壁断熱:高性能グラスウール約100mm
積水ハウスの軽量鉄骨造では、外壁部分の断熱材として高性能グラスウールが採用されています。標準仕様での充填厚さは約100mmとされており、これは軽量鉄骨の柱幅に合わせた設定です。
高性能グラスウールは一般的なグラスウールより繊維が細かく、同じ厚さでより高い断熱性能を発揮します。ただし、鉄骨の柱・梁そのものは熱を伝えやすいため、柱幅に合わせた100mmの充填だけでは柱を通じた熱移動(熱橋・ヒートブリッジ)が生じる点も理解しておくとよいでしょう。
温暖地(4〜7地域)と寒冷地(1〜3地域)では使用する断熱材の厚みが異なります。積水ハウス公式の技術情報でも、「外壁では寒冷地と温暖地で使用する繊維系断熱材の厚みが異なる」と明示されています。
木造シャーウッド:120mm角の構造柱を活かし、壁体内により多くの断熱材を充填
寒冷地仕様では上記より厚みが増す設定になります
- 軽量鉄骨造の壁断熱材は高性能グラスウールが主体で、温暖地標準は約100mmが目安
- 木造(シャーウッド)は120mm角の柱を使い、壁体内の空間を広く確保している
- 寒冷地(1〜3地域)では温暖地より厚い仕様が設定されている
- 鉄骨の柱・梁は断熱材だけでは補いきれない熱橋が発生するため、追加の対策工法が必要になる
天井断熱:約200mmが温暖地の目安
天井の断熱材は、積水ハウスの軽量鉄骨造・木造ともに比較的厚い設定になっています。温暖地の標準仕様では、ロックウールまたは高性能グラスウールを約200mm充填するのが一般的な目安です。
天井は夏に太陽熱を直接受ける面であり、冬は暖かい空気が上昇して逃げやすい部位でもあります。200mmという厚みは国が定める省エネ基準の要件を満たす水準ですが、等級を上げる際は300mm以上に増やすグレードアップが選択肢になります。
寒冷地と温暖地では天井に使う断熱材の種類も異なる場合があります。積水ハウス公式の技術情報では「天井の場合、厚みだけでなく、寒冷地と温暖地で敷き詰める断熱材の素材も異なる」と案内されています。
床断熱:ポリスチレンフォーム約80mm
床部分には、水に強く一定の強度を持つポリスチレンフォームが使われます。温暖地の標準仕様では約80mmが目安です。床断熱は足元の温度感に直結する部位で、床下からの冷気を遮断する役割を果たします。
積水ハウス公式でも「床では敷き詰めるポリスチレンフォームの厚みが(寒冷地と温暖地で)それぞれ異なる」と明示されています。寒冷地仕様では床断熱材が厚く設定されており、温暖地でも寒冷地仕様を採用することで床面の断熱性を高めることができます。
壁:高性能グラスウール 約100mm
天井:ロックウールまたは高性能グラスウール 約200mm
床:ポリスチレンフォーム 約80mm
※地域区分・商品シリーズ・契約時期によって異なります。最新の仕様は積水ハウス公式サイトまたは担当スタッフへご確認ください。
- 床断熱材はポリスチレンフォームが主体で、温暖地標準は約80mmが目安
- 寒冷地仕様では床・壁・天井すべてで断熱材が厚くなる
- 正確な部位別の厚さは積水ハウス公式の商品カタログおよび断熱性能ページで確認できる
木造(シャーウッド)の断熱構成の特徴
木造系の「シャーウッド」では、120mm角の構造柱を使用しているため、壁体内の空間が軽量鉄骨造より大きくなります。この空間を活かして断熱材をより多く充填できる設計になっています。
積水ハウス公式の技術資料では、シャーウッドについて「壁や天井にはたくさんの断熱材を敷き詰めて性能を強化」し、「断熱対策のレベルは鉄骨造住宅と同等」と説明されています。軽量鉄骨と木造では断熱材の厚みや素材が異なりますが、どちらも地域区分に対応した仕様設計が基本になっています。
断熱等級と断熱材厚さの関係を知る
断熱材の厚さを増やすと、どの断熱等級に対応できるのかを理解しておくと、仕様選択の判断がしやすくなります。断熱等級は国土交通省が定める住宅性能表示制度の指標で、等級4〜7までの段階があります。
断熱等級の基本:等級5・6・7の違い
断熱等級は、外皮平均熱貫流率(UA値)をもとに評価されます。UA値とは、室内から外へ逃げる熱の平均値を表す指標で、数値が低いほど断熱性能が高いことを意味します。
国土交通省の住宅性能表示制度では、以下のように等級とUA値が対応しています(6地域の例)。
| 断熱等級 | UA値の目安(6地域) | 相当する基準 |
|---|---|---|
| 等級4 | 0.87以下 | 省エネ基準(2013年) |
| 等級5 | 0.60以下 | ZEH基準相当 |
| 等級6 | 0.46以下 | HEAT20 G2相当 |
| 等級7 | 0.26以下 | HEAT20 G3相当 |
積水ハウスの標準仕様は断熱等級5(UA値0.6以下が目安)に対応しており、ZEH基準を満たす水準です。オプションで等級6・7に対応する仕様へのグレードアップも可能です。なお、2025年4月から省エネ基準への適合が義務化されています(国土交通省・建築物省エネ法の施行に基づく)。
ぐるりん断熱:鉄骨造特有の熱橋対策
積水ハウスの軽量鉄骨造では、「ぐるりん断熱」と呼ばれる独自の断熱工法が軽量鉄骨系戸建て全商品に標準採用されています。これは、鉄骨の柱や梁、接合部まで断熱材で包み込む考え方で、鉄が熱を伝えやすい性質(熱橋)を抑える仕組みです。
鉄骨造では、断熱材の充填厚さだけでなく、この熱橋をどう処理するかが断熱性能に大きく影響します。ぐるりん断熱はこの弱点を補うための工夫として位置づけられており、断熱等級の向上にも関係する要素です。
ぐるりん断熱の詳細な仕様・採用範囲については、積水ハウス公式サイトの「軽量鉄骨造の断熱・技術情報」ページで最新情報を確認できます。
鉄骨の柱・梁・接合部を断熱材で包み込む工法
断熱材の厚さを増やすだけでなく、熱橋を抑えることが鉄骨造の断熱性向上の鍵
軽量鉄骨系戸建て全商品に標準採用(積水ハウス公式発表による)
- 鉄骨造の断熱性は充填厚さと熱橋対策の両方で決まる
- ぐるりん断熱は積水ハウス独自の熱橋対策工法で、軽量鉄骨系戸建てに標準採用
- 断熱等級を上げる際は、断熱材の厚さアップとあわせて熱橋処理の方針も確認するとよい
断熱等級5から6へ上げるために変わること
断熱等級5(UA値0.60以下)から等級6(UA値0.46以下)へ引き上げるには、断熱材の厚さを増やすだけでなく、窓の性能向上も必要になるのが一般的です。家全体の熱損失のうち、窓・開口部からの割合が大きいためです。
積水ハウスの断熱ハイグレード仕様は等級6に対応しており、断熱材の増厚とサッシ性能の強化がセットになっています。具体的な仕様の変更内容や対応地域については、積水ハウス公式サイトの性能・技術紹介ページまたは担当スタッフへ確認するとよいでしょう。
断熱材の厚さを左右する仕様グレードの選択肢
積水ハウスでは断熱仕様を複数のグレードから選択できます。どのグレードにするかで断熱材の厚さと種類が変わり、結果として断熱等級も変わります。この章ではグレードの概要と選択の目安を整理します。
スタンダード・ハイグレード・プレミアムの3段階
積水ハウスの断熱仕様は、大きくスタンダード・ハイグレード・プレミアムの3つのグレードに分かれています。各グレードの概要は以下のとおりです。
| グレード | 断熱等級の目安 | 主な変更点 |
|---|---|---|
| スタンダード | 等級5相当 | 高性能グラスウール充填(標準厚)・ZEH基準対応 |
| ハイグレード | 等級6相当 | 断熱材の増厚・サッシ性能強化 |
| プレミアム | 等級6〜7相当 | トリプルガラス採用・断熱材の大幅増厚 |
グレードによって断熱材の厚さや素材が変わるため、「どの等級を目指すか」を先に決めてから仕様を検討するとスムーズです。費用の目安はグレードや建物規模によって幅がありますので、積水ハウスの担当スタッフへ見積もりを依頼して確認してください。
寒冷地仕様を温暖地で採用する選択肢
積水ハウスでは、温暖地(4〜7地域)であっても寒冷地(1〜3地域)向けの断熱仕様を採用することが選択肢のひとつになっています。寒冷地仕様は断熱材の厚さが全部位で増える設定で、断熱等級の向上につながります。
積水ハウス公式の技術情報によると、シャーウッドでは地域ごとに最適な断熱性能を提供するために、外壁・天井・床の断熱仕様を地域区分に合わせて変えています。温暖地で寒冷地仕様を採用する場合は、窓・サッシの仕様変更とセットで検討するとより効果が高まります。
ZEH仕様とHEAT20 G2の違いを理解する
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は資源エネルギー庁が推進する省エネ住宅の基準で、断熱等級5相当(UA値0.60以下が目安)が要件のひとつです。積水ハウスの標準仕様はZEH基準を満たす水準とされています。
HEAT20 G2は建築研究グループHEAT20が定める独自の高断熱基準で、「冬の最低室温がおおむね13度を下回らない」水準を目安とします。断熱等級6(UA値0.46以下)がほぼ相当します。ZEH基準より一段上の断熱性能を求める場合の参考指標として活用できます。
- ZEH基準は等級5相当・UA値0.60以下が目安(資源エネルギー庁の推進基準)
- HEAT20 G2は等級6相当・UA値0.46以下が目安(建築研究グループの独自基準)
- 断熱等級7はHEAT20 G3相当でUA値0.26以下が目安、最高水準の断熱性能
- どの基準を目標にするかによって、断熱材の厚さと窓仕様の選択が変わる
窓・サッシの性能と断熱材厚さの組み合わせ
断熱材の厚さを増やしても、窓からの熱損失が大きいままでは断熱等級の向上には限界があります。断熱性能全体を考えるとき、窓・サッシの選択は断熱材の厚さと同等以上に影響する要素です。
積水ハウス標準のSAJサッシ(アルミ樹脂複合)の特性
積水ハウスの標準サッシはSAJサッシと呼ばれるアルミ樹脂複合サッシです。室内側が樹脂、外側がアルミの構造で、一般的なアルミサッシより断熱性が高い一方、オール樹脂サッシよりは熱を伝えやすい性質があります。
アルミは樹脂の約1,000倍熱を伝えやすい素材です。窓枠の素材の違いは、冬の結露発生や窓際のコールドドラフト(窓面から流れる冷気)に影響します。断熱材の厚さを増やすグレードアップと並行して、窓の仕様を検討する際の基礎知識として押さえておくとよいでしょう。
断熱等級6以上を目指す場合の窓仕様の方向性
断熱等級6相当(UA値0.46以下)を目指す場合、断熱材の増厚に加えて窓の断熱性能を引き上げることが必要になるのが一般的です。具体的な方向性としては、複層ガラス(ペアガラス)からトリプルガラスへの変更、またはサッシ枠をオール樹脂サッシに変更する選択肢があります。
積水ハウスの断熱ハイグレード・プレミアム仕様ではサッシ強化がセットになっています。なお、オール樹脂サッシはアルミ樹脂複合サッシよりフレームが太くなり、見た目の印象が変わる場合があります。実物サンプルを確認した上で選択することをおすすめします。
Low-Eガラス・複層ガラス・トリプルガラスの断熱性の違い
ガラスの種類によって断熱性能は大きく変わります。それぞれの概要を整理すると次のとおりです。
| ガラス種別 | 構成 | 断熱性能の目安 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 単板ガラス | 1枚 | 低い | 古い住宅に多い、断熱・遮音性低 |
| 複層ガラス(ペア) | 2枚+空気層 | 標準 | 現在の新築の一般的な基準 |
| Low-Eペアガラス | 2枚+特殊コーティング | 高い | 日射遮蔽型・日射取得型で性能が異なる |
| トリプルガラス | 3枚+2層の空気層 | 最高クラス | 断熱等級6〜7を目指す際の選択肢 |
Low-Eガラスは特殊な金属膜コーティングにより、熱放射を抑える機能を持ちます。日射遮蔽型(南以外の窓に適する)と日射取得型(南向きの窓に適する)で特性が異なるため、設置する窓の向きに合わせた選択が有効です。具体的な製品仕様はメーカー各社の公式資料でご確認ください。
- 断熱材の厚さと窓の断熱性能は、どちらも断熱等級に直結する要素
- 等級6以上を目指す場合は窓の仕様変更(トリプルガラスや樹脂サッシ)が現実的な選択肢
- Low-Eガラスは日射遮蔽型・日射取得型で性能が異なるため、窓の向きに合わせた選択が有効
窓の断熱性能を確認する際のポイント
窓の断熱性能は、熱貫流率(U値)で表されます。数値が低いほど熱を伝えにくく、断熱性が高いことを示します。住宅性能表示制度では窓のU値も評価対象になっており、断熱等級の計算に組み込まれます。
積水ハウスの標準・ハイグレード・プレミアム各仕様における窓のU値の具体的な数値は、積水ハウス公式サイトの「性能・技術」ページまたはカタログで確認できます。担当スタッフへ「窓のU値と断熱等級への影響を教えてほしい」と直接聞くのが最も正確な方法です。
断熱材の厚さを比較・選択するときの実践的な視点
断熱仕様を選ぶ際は、数値だけでなく「どの部位をどの順番で強化するか」の優先順位を決めておくと判断しやすくなります。この章では、断熱材の厚さと等級を選ぶ際に実際に役立つ視点を整理します。
部位別の優先順位:窓が最初の検討ポイント
住宅から逃げる熱の割合は部位によって異なります。環境省の省エネ住宅に関する資料では、冬に室内から逃げる熱のうち窓・開口部からの割合が大きいとされており、窓の断熱性強化が光熱費削減と快適性向上の両面で効果的とされています。
壁・天井・床の断熱材を厚くすることは重要ですが、窓の断熱性が低いままでは家全体のUA値を下げる効果に限界があります。断熱グレードを検討する際は、まず窓・サッシの仕様確認から始めるのが実践的な順序です。
天井断熱の増厚:夏の暑さと冬の暖房効率に効く
天井の断熱材を増厚する改善は、比較的コストパフォーマンスが高い選択肢とされています。夏は屋根から伝わる熱を遮断し、冬は暖かい空気が天井から逃げるのを抑える効果があります。
標準仕様の約200mmから300mm以上に増やす場合、吹き込み(ブローイング)工法が使われることがあります。具体的な追加費用や対応可否は、建物プランや施工条件によって異なりますので、積水ハウスの担当スタッフへ確認してください。
換気システムと断熱材の相乗効果を理解する
断熱材を厚くして気密性を高めると、換気による熱損失の影響が相対的に大きくなります。積水ハウスのシャーウッドでは、熱交換型換気システム(アメニティー換気システムV)が選択肢にあり、外気を室温に近づけてから室内に取り込むことで換気時の熱ロスを抑えます。
断熱材の厚さを増やすグレードアップと換気システムの選択はセットで考えると、より高い温熱環境の実現につながります。換気システムの種類・選択肢については、積水ハウス公式サイトの換気システム紹介ページでご確認ください。
1. 建設地の省エネ地域区分(1〜7地域)を確認する
2. 目標とする断熱等級(5・6・7)を決める
3. 窓・サッシの仕様変更とセットで検討する
4. 積水ハウスの担当スタッフにUA値シミュレーションを依頼する
- 断熱材の厚さだけでなく、窓・換気・熱橋対策を組み合わせた総合的な設計が重要
- 目標等級を先に決めてから、部位ごとの仕様を逆算して検討するとスムーズ
- 具体的な費用・仕様はプランや地域によって変わるため、担当スタッフへのシミュレーション依頼が最も確実
Q&A:断熱材の厚さでよくある疑問
Q. 断熱材の厚さを増やすだけで断熱等級は上がりますか?
断熱材の厚さを増やすことは等級向上に貢献しますが、UA値の計算には窓・開口部の断熱性も含まれます。断熱材単体で等級を大きく引き上げるには限界があるため、窓の仕様変更とセットで検討するのが現実的です。
Q. 積水ハウスで断熱仕様の変更を依頼するタイミングはいつが適切ですか?
断熱仕様は設計の早い段階で決めるほど対応しやすくなります。間取りや窓の配置が確定した後では変更が難しくなる場合もあるため、プラン検討の段階で担当スタッフへ希望の断熱等級を伝えておくとよいでしょう。
まとめ
積水ハウスの断熱材の厚さは、軽量鉄骨造の温暖地標準で壁約100mm・天井約200mm・床約80mmが目安であり、断熱グレードや地域区分によって変わります。
断熱性能を上げたい場合は、まず目標とする断熱等級(5・6・7)を決め、積水ハウスの担当スタッフへUA値のシミュレーションを依頼することが最初の具体的なステップです。
断熱材の厚さは「数値を確認して終わり」ではなく、窓・換気・熱橋対策と組み合わせて初めて快適な温熱環境につながります。この記事が、仕様選択の参考として少しでもお役に立てれば幸いです。

