積水ハウスの断熱性能は、2022年以降に大きく進化しています。標準仕様でも断熱等級6に対応できる水準が整い、さらにグレードアップすれば断熱等級7も視野に入る「プレミアム仕様」を選べるようになっています。
プレミアム仕様とはどんな内容なのか、費用はどのくらいかかるのか、そして窓やサッシの性能はどう違うのか。住まいの断熱対策を本格的に考えている方にとって、これらは検討段階で整理しておきたい論点です。
この記事では、積水ハウスの断熱グレードを3段階に整理し、プレミアム仕様の内容・価格目安・窓性能との関係をわかりやすく解説します。見積もりを依頼する前の情報収集にも役立てていただけます。
積水ハウスの断熱仕様が2022年以降に大きく変わった背景
積水ハウスの断熱性能がどのような水準にあるかを理解するには、まず断熱等級という制度の変化を押さえておくとよいでしょう。2022年の法改正によって断熱等級が最大7段階に拡張された経緯と、積水ハウスの標準仕様がどう対応してきたかを整理します。
断熱等級の上位区分が2022年に新設された
住宅の断熱性能を示す「断熱等性能等級」は、国土交通省が制定した住宅品質確保促進法に基づく基準です。以前は等級4が最高でしたが、2022年4月に等級5、同年10月に等級6と7が新たに設けられました。これにより、かつての最高等級だった等級4は、現在では「最低限満たすべき基準」に位置づけが変わっています。
等級を評価する主な指標がUA値(外皮平均熱貫流率)です。UA値は建物全体から逃げる熱の量を示し、数値が小さいほど断熱性能が高いことを表します。国の省エネ基準(等級4)のUA値は0.87W/㎡K以下ですが、等級6では0.46W/㎡K以下が目安となります。断熱等級6はHEAT20(民間の省エネ基準)のG2グレードにも相当し、冬場の室内体感温度が概ね13度を下回らないレベルとされています。
このような制度の変化が、各ハウスメーカーの標準仕様の底上げを促す大きなきっかけになっています。
積水ハウスは2022年10月に標準仕様を格上げした
積水ハウスでは、2022年10月の仕様改定により、多くの商品で断熱等級6への対応を標準化しました。対象は地域区分5〜7(東京・大阪など本州の大部分が含まれる温暖地)で、この地域では特別なオプションを追加しなくても断熱等級6相当の住宅が標準で手に入る状態になっています。これは、国が推進するZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を上回る性能水準です。
積水ハウス公式サイトでは「断熱性能等級6にも対応可能な設計」と案内されており、ZEH比率も2024年度の新築戸建住宅で96%に達しています。標準仕様のレベルが大きく引き上げられた点は、数年前の積水ハウスのイメージとは異なる進化といえます。
鉄骨とシャーウッドで断熱工法が異なる
積水ハウスには鉄骨造と木造(シャーウッド)の2つの構造があり、それぞれ断熱の工法が異なります。鉄骨造では「ぐるりん断熱」と呼ばれる独自工法を採用しています。鉄は熱を伝えやすい素材のため、鉄骨の柱や梁に断熱材を巻き付けて熱橋(ヒートブリッジ)を遮断し、床から天井まで断熱材を途切れなく連続させる設計です。コンセントボックス裏など細部まで専用カバーで覆うことで、断熱欠損を最小化しています。
木造のシャーウッドは、木材自体に断熱性があるため鉄骨に比べて熱橋の影響を受けにくく、構造体と断熱材を密着させる充填断熱工法が採用されています。積水ハウスの公式情報によれば、鉄骨・シャーウッドのどちらも同じ断熱仕様であれば性能に大きな差はありません。
等級6はUA値0.46W/㎡K以下が目安で、HEAT20のG2グレードに相当します。
積水ハウスは2022年10月の改定により、多くの商品で等級6への対応を標準化しています。
- 断熱等性能等級は2022年に最大7段階に拡張された
- 積水ハウスは等級6への対応を2022年から多くの商品で標準化
- ZEH比率は2024年度に96%を達成(積水ハウス公式)
- 鉄骨は「ぐるりん断熱」、木造シャーウッドは充填断熱工法を採用
積水ハウスの断熱グレード3段階とプレミアム仕様の内容
積水ハウスの断熱仕様は、スタンダード・ハイグレード・プレミアムの3つのグレードから選ぶ構成になっています。それぞれ断熱材の仕様や窓の性能が異なり、断熱等級の目安も変わってきます。自分の住まいにどのグレードが合うかを判断するための整理として、各段階の違いを確認しておきましょう。
スタンダード仕様は断熱等級5〜6に対応
標準仕様では、断熱等級5〜6相当の性能が確保されています。地域区分5〜7(温暖地)では等級6がベースとなり、ZEH基準をクリアする断熱性能が整っています。断熱材は部位ごとに最適な種類を使い分けており、外壁・天井・床にそれぞれグラスウール系の断熱材が充填されます。
窓はアルミ樹脂複合サッシ(SAJサッシまたはAJサッシ)とLow-E複層ガラスの組み合わせが標準です。SAJサッシは積水ハウス独自の超高断熱仕様で、一般的なアルミ樹脂複合サッシと比べて約1.4倍の断熱性能があると公式サイトに記載されています。標準仕様でも多くの地域で快適な住環境を実現できる水準です。
ハイグレード仕様は断熱材の厚みと窓性能を強化
ハイグレード仕様は、スタンダードよりも断熱材を厚くし、熱伝導率の低い素材に変更することで、断熱等級6をより安定的に満たす水準に引き上げた内容です。外壁・天井・床下の断熱強化が中心で、開口部の一部をより断熱性の高い仕様に変更することもあります。寒冷地でなくても、一年中安定した室温を重視する方に選ばれることが増えています。
ハイグレード仕様では、標準よりも窓のグレードが引き上げられるケースがあり、トリプルガラスや樹脂サッシが選択肢に入ってきます。断熱材の強化と窓性能の向上が組み合わさることで、外気温の影響を受けにくく、室内の温度を安定して保ちやすくなります。
プレミアム仕様はトリプルガラスや樹脂サッシを中心に構成される
プレミアム仕様は、断熱性能の観点でも積水ハウスの最上位グレードに位置づけられます。最大の特徴は、トリプルガラスを採用した高性能窓の採用です。トリプルガラスは2枚のLow-Eガラスと中間層による3層構造で、熱の出入りを大幅に抑えることができます。断熱等級6〜7の水準を視野に入れた仕様です。
断熱材については、壁・天井・床すべてにわたって性能強化が施されており、スタンダード仕様とは断熱材の厚みや種類が異なります。加えて、換気・空調まで含めた総合的な快適性を追求したパッケージとして提供されることが多く、断熱性能だけでなく住宅全体の省エネ性・居住性を高める内容が含まれます。
寒冷地(1〜4地域)では標準仕様の内容が異なる
断熱等級の目安は地域区分によって変わります。積水ハウスの標準仕様で等級6が基本となるのは地域区分5〜7(温暖地・一般地)が対象です。北海道や東北などの寒冷地(1〜4地域)では、より高い断熱性能が求められるため、断熱材の仕様や窓の種類が温暖地の標準仕様とは異なります。北海道エリアではKJサッシ(全樹脂サッシ)が標準的に用いられるなど、地域に応じた仕様が設定されています。
寒冷地で家を建てる場合は、断熱等級だけでなく「その地域での標準仕様が何か」を事前に営業担当者に確認しておくことが大切です。地域区分ごとに標準の断熱材の厚みや窓性能が変わるため、一律の情報では判断できない部分があります。
| グレード | 断熱等級目安 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| スタンダード | 等級5〜6 | SAJサッシ+Low-Eペアガラス標準、ZEH基準クリア |
| ハイグレード | 等級6(安定) | 断熱材の厚み・性能アップ、窓グレード強化 |
| プレミアム | 等級6〜7 | トリプルガラス+樹脂サッシ採用、最高断熱仕様 |
- スタンダード仕様はSAJサッシ+Low-Eペアガラスが基本
- ハイグレード仕様では断熱材と窓性能をさらに強化
- プレミアム仕様はトリプルガラス採用で等級6〜7を視野に入れた最上位
- 寒冷地では同じ「標準」でも仕様内容が温暖地と異なる
窓・サッシの仕様が断熱性能と結露対策に直結する理由
断熱性能を語るうえで、窓とサッシの仕様は切り離せません。家全体の熱の出入りの約半分は窓から生じるとされており、断熱材をどれだけ強化しても窓の性能が低いと全体のバランスが崩れます。積水ハウスが標準から採用しているSAJサッシの特徴と、グレードアップした場合の窓性能の変化を確認しておきましょう。
SAJサッシは積水ハウスの基本窓で断熱性を重視した設計

積水ハウスが軽量鉄骨・木造住宅の標準的な仕様に採用しているSAJサッシは、超高断熱アルミ樹脂複合サッシです。外側が強度の高いアルミ、室内側が熱を通しにくい樹脂で構成されており、サッシを伝って室内に侵入する冷気を防ぐ設計になっています。積水ハウス公式サイトによると、一般的なアルミ樹脂複合サッシと比較して約1.4倍の断熱性能を実現しています。
SAJサッシはペアガラス・トリプルガラス・真空ペアガラスから選択できます。標準ではLow-Eペアガラスが採用されることが多く、Low-Eコーティングにより夏の日射熱を抑えつつ、冬の暖房熱を室内に閉じ込める効果があります。開口部をスリムにすることで見た目のすっきりさも両立しています。
トリプルガラスへのアップグレードで結露リスクを大幅に減らせる
プレミアム仕様でメインとなるトリプルガラスは、2枚のLow-Eガラスと中間層(アルゴンガス等)を合わせた3層構造の窓ガラスです。熱の出入りをペアガラスよりも大幅に抑えるため、冬場の窓表面温度が下がりにくく、結露が発生しにくいという利点があります。
結露は窓ガラスや窓枠の表面温度が室内の露点温度を下回ったときに発生します。断熱性の高いトリプルガラスや樹脂サッシを使うと窓周辺の表面温度が高く保たれるため、結露の発生を抑えやすくなります。断熱性能の数値だけでなく、日常の結露対策という観点でも窓のグレードアップは有効です。
樹脂サッシは断熱性が高い一方で地域適性を確認する必要がある
フレーム全体を樹脂にしたオール樹脂サッシ(KJサッシ)は、アルミ樹脂複合サッシと比べてさらに断熱性能が高く、主に北海道などの寒冷地向けとして使われてきた仕様です。近年は温暖地でも樹脂サッシへの関心が高まっており、積水ハウスでも温暖地での採用が可能になっています。
ただし、樹脂サッシはアルミに比べて強度や耐候性で配慮が必要な面もあるため、地域の気候・日射条件・間取りとのバランスを担当者と相談しながら選ぶとよいでしょう。サッシの種類だけでなく、ガラスの選択(Low-E遮熱か断熱かなど)も室内の温熱環境に影響します。
・ガラスの枚数(ペアかトリプルか)と種類(Low-E遮熱か断熱か)
・サッシ枠の素材(アルミ樹脂複合かオール樹脂か)
・建設地の地域区分(寒冷地か温暖地か)
・開口部の大きさや向き(南向きか北向きかで最適なガラスが異なる)
- SAJサッシは一般的なアルミ樹脂複合サッシの約1.4倍の断熱性能(積水ハウス公式)
- トリプルガラスは結露の抑制にも効果的
- KJサッシ(全樹脂)は寒冷地向けが基本だが温暖地での採用も可能
- 窓のグレードは断熱等級全体のバランスに大きく影響する
プレミアム仕様の価格目安と費用対効果の考え方
プレミアム仕様を選ぶ際に気になるのは、どのくらいの追加費用がかかるかという点です。仕様の内容によって費用は大きく変わりますが、参考情報として複数のデータから浮かび上がる費用感の目安を整理しています。あくまでも目安であり、正確な金額は見積もり段階で確認が必要です。
スタンダードからハイグレードへのアップグレード費用の目安
スタンダード仕様からハイグレード仕様へ変更する場合の追加費用は、建物の規模や窓の数・仕様によって異なりますが、30万円〜50万円程度が目安として挙げられています。この段階での費用増加は、主に断熱材の厚みアップや一部の窓グレード変更によるものです。
また、積水ハウスの標準仕様(等級6)は2022年以降の改定で既に高い水準にあるため、温暖地(5〜7地域)ではスタンダードのままでも多くの方にとって快適な住環境が得られます。寒冷地や、より安定した室温を求める場合に、ハイグレードへの変更を検討するとよいでしょう。
ハイグレードからプレミアムへのアップグレード費用の目安
ハイグレードからさらにプレミアム仕様にする場合は、70万円〜100万円程度の追加費用がかかるケースが多いとされています。トリプルガラスへの変更は1箇所あたりの単価差が大きく、窓の数が多いほど費用が増える傾向にあります。断熱材の強化に加え、樹脂サッシへの変更まで含めると、費用はさらに上がることがあります。
プレミアム仕様をフルに選んだ場合、断熱性能に加えて他の先進設備も含まれるパッケージになるため、追加費用が500万円を超えるケースもあります。費用の幅が大きいのは、採用する設備の種類や建物の規模によって変動するためです。具体的な金額を把握するためには、設計段階で営業担当者に見積もりを取ることが必要です。
費用対効果を判断するときに見ておきたい視点
断熱グレードの費用対効果を判断するうえでは、初期費用の増加分を長期的な光熱費削減で回収できるかどうかが一つの目安になります。断熱性能が高いほど冷暖房の負荷が下がり、毎月の光熱費の節約につながります。30年・40年という長い視野で考えると、初期費用の差は相対的に小さくなる場合があります。
また、断熱性能の向上はヒートショック(急激な温度差による血圧の急変)のリスク低減にも関係します。家中の温度差が小さくなるほど、入浴時や起床時の急激な温度変化が抑えられます。健康面での効果も含めて総合的に判断するとよいでしょう。一方で、費用が大きく増える場合は、どの部位に投資するかの優先順位を担当者と丁寧に相談することが大切です。
補助金の活用で実質負担を軽減できる場合もある
ZEH基準をクリアする住宅には、国からの補助金が受けられる可能性があります。年度や事業によって条件や金額は異なりますが、ZEH補助金として55万円〜90万円程度(事業・年度によって変動)が活用できるケースがあります。また、長期優良住宅に認定された場合は住宅ローン控除の借入限度額が拡充されるなど、税制上の優遇も期待できます。
補助金には申請期間や予算枠があるため、検討段階で早めに担当者に確認することが重要です。最新の補助金情報については、資源エネルギー庁のZEHに関するページや、環境省・国土交通省の住宅省エネ化支援事業のページで確認するとよいでしょう。※最新情報は資源エネルギー庁公式サイトのZEH支援補助金ページでご確認ください。
| グレードアップ内容 | 追加費用の目安 |
|---|---|
| スタンダード→ハイグレード | 30万〜50万円程度 |
| ハイグレード→プレミアム | 70万〜100万円程度 |
| プレミアム仕様(フルパッケージ) | 500万円超のケースもあり |
- ハイグレードへの変更は30〜50万円程度が目安
- プレミアム仕様へのアップグレードは70〜100万円程度が目安
- プレミアム全体のパッケージでは500万円超になることもある
- ZEH補助金や長期優良住宅の税制優遇で実質負担を軽減できる場合がある
まとめ
積水ハウスの断熱プレミアム仕様は、トリプルガラスや樹脂サッシを中心に構成された最上位グレードで、断熱等級6〜7の水準を目指す内容です。費用は追加で70万〜100万円程度(フルパッケージでは500万円超のケースも)が目安ですが、正確な金額は見積もりで確認が必要です。
まず確認するとよいのは、自分の建設地の地域区分と、標準仕様の断熱等級が何かという点です。温暖地(5〜7地域)では標準でも断熱等級6に対応していることが多いため、プレミアム仕様が必須かどうかはライフスタイルや予算との兼ね合いで変わります。
住まいの断熱性能は、毎日の快適さと光熱費の両方に長期的な影響を与えます。仕様を選ぶ際には、窓の性能・断熱材の種類・補助金の活用も含めて、担当者と丁寧に比較検討されることをおすすめします。

