タマホームの断熱性能は「商品によって大きく異なる」という事実を、多くの検討者が見落としがちです。同じタマホームでも、選ぶシリーズや建設地の地域区分によって、窓サッシの種類・断熱材の厚み・断熱等性能等級が変わります。「寒い」「思ったより暖かい」という評判が食い違うのも、この仕様差が背景にあることが多いです。
この記事では、タマホームの主力商品「大安心の家」シリーズを中心に、断熱等級・UA値(外皮平均熱貫流率)・窓ガラス・サッシの仕様を商品別・地域別に整理します。断熱等性能等級とは住宅の断熱性能を1〜7の段階で評価する指標で、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づいて国土交通省が定めています。数字が大きいほど断熱性能が高く、2025年4月以降は等級4以上が新築義務基準となっています。
オプション変更の方向性や、購入後に断熱性を補強する手段まで幅広くまとめているので、検討の初期段階から打ち合わせ前の確認まで、参考にしていただけます。
タマホームの断熱性能の基本的な考え方とコスパの位置づけ
タマホームは「ローコストでも断熱性を確保する」という方向性を一貫して持っています。標準仕様の内容は年々グレードアップしており、2022年には主力商品の大安心の家で樹脂サッシが標準採用されるなど、業界の流れに沿った改善が続いています。
断熱性能を左右する3つの要素
住宅の断熱性能は、断熱材・サッシ・施工精度の3つが組み合わさって決まります。断熱材だけ良くてもサッシが低性能だと熱が窓から逃げ、逆も同様です。タマホームでは壁・天井・床それぞれに異なる素材を採用しており、組み合わせ全体でUA値(外皮平均熱貫流率)が算出されます。UA値は数値が小さいほど断熱性が高く、東京が属する6地域では断熱等級5の基準がUA値0.60以下とされています(国土交通省の断熱等性能等級の基準値より)。
断熱材の「K」という表記は密度を表しており、14Kは1立方メートルあたり14キログラムという意味です。数値が大きいほど密度が高く、断熱性能も上がります。タマホームの標準は14Kで、大手ハウスメーカーの16Kより一段階低い密度ですが、適切な厚みを確保することで等級5をクリアしています。
なぜ「商品によって仕様が違う」のか
タマホームは商品ごとにグレードを分け、価格帯に応じた仕様を設定しています。木麗な家・大安心の家・笑顔の家でサッシ・断熱材・換気システムが異なります。また、同じ商品でも建設地の地域区分(1〜8)によって仕様が変わります。北海道を含む寒冷地の1〜3地域では断熱仕様が自動的に強化され、温暖な5〜7地域とは断熱材の厚みやサッシの種類が異なります。
「タマホームで建てたら寒かった」という声は、旧仕様の時期の話や、地域区分に適合した仕様を選ばなかったケースに多くみられます。現行仕様で検討する際は、まず自分の建設地がどの地域区分に属するかを確認することが出発点になります。
断熱等級の変遷と現在地
断熱等性能等級はかつて等級4が最高でしたが、2022年4月に等級5、同年10月に等級6・7が新設され、現在は7段階の評価体系となっています。タマホームの大安心の家は公式サイト(2022年12月時点の仕様表示)によると「断熱等性能等級5をクリア」と明記されています。ただし、プランや方位・商品仕様によって等級が変わる場合があるとも記載されているため、個別プランの確認がかかせません。
大安心の家(5〜7地域):断熱等性能等級5クリア(公式サイト参照)
木麗な家(5〜7地域):断熱等性能等級4相当(仕様によって変わる場合あり)
最新仕様は必ずタマホーム公式サイトまたは展示場でご確認ください。
- UA値は数値が小さいほど断熱性が高く、断熱等級5の基準は6地域(東京等)でUA値0.60以下
- グラスウールの「K」は密度を示し、数値が大きいほど高性能
- 商品グレードと建設地の地域区分の2軸で仕様が変わる
- 2022年以降、大安心の家では樹脂サッシが標準仕様に格上げされた
- 断熱等級は2025年4月以降、新築で等級4以上が義務化された
タマホームの主力商品別・断熱仕様の違い
タマホームの主力商品は「木麗な家」「大安心の家」「笑顔の家」の3層構成です。それぞれ断熱材の種類・厚み・サッシの仕様が異なり、価格差がそのまま断熱性能差に反映されます。
木麗な家の断熱仕様
木麗な家はタマホームのエントリーラインに位置します。断熱材はグラスウール14Kで、壁105mm・天井210mm程度が一般的な仕様です(地域によって異なります)。サッシは5〜7地域ではアルミサッシが標準で、4地域ではアルミ樹脂複合サッシ、3地域では樹脂サッシが標準となります。ガラスはLow-Eペアガラスが標準です。
Low-Eとはガラス表面に特殊な金属膜をコーティングして断熱性・遮熱性を高めたガラスのことです。アルミサッシは耐候性が高い反面、熱を伝えやすいため、温暖地でも結露が起きやすいというデメリットがあります。断熱等級は4相当での評価が多く、予算重視のプランとして位置づけられています。
大安心の家の断熱仕様
大安心の家はタマホームの主力商品です。2022年からサッシが樹脂サッシへ標準化され、断熱等性能等級5クリアの仕様となりました。樹脂サッシはアルミに比べて熱伝導率が約1000分の1と低く、窓まわりの結露を大きく抑えます。断熱材はグラスウール14Kで、壁105mm・天井に吹込みグラスウールを採用しているのが特徴です。
ガラスはアルゴンガス入りLow-Eペアガラスが多くの地域で標準となっています。アルゴンガスは空気より熱伝導率が低く、ガラスの断熱性を高める効果があります。3地域ではLow-Eトリプルガラスへの変更も選べます。標準仕様のまま建てても一般地域では快適性が高い仕様ですが、寒冷地では追加オプションを検討するとよいでしょう。
大安心の家[暖]PREMIUMと笑顔の家の断熱仕様
大安心の家[暖]PREMIUMは主に寒冷地向けの上位商品です。公式サイトによると、2つの中空層にクリプトンガスを封入したLow-Eトリプルガラスと、吹付けウレタン断熱(壁)・吹込みグラスウール18K 320mm(天井)を採用しています。クリプトンガスは空気比で約60%熱の伝わりを抑え、アルゴンガスよりさらに高い断熱性を持ちます。笑顔の家はHEAT20 G3水準に相当する断熱性を備え、樹脂サッシ+Low-Eトリプルガラス・外壁ダブル断熱が標準です。
| 商品名 | 標準サッシ(5〜7地域) | 断熱材(壁) | 断熱等級の目安 |
|---|---|---|---|
| 木麗な家 | アルミサッシ | グラスウール14K | 等級4相当 |
| 大安心の家 | 樹脂サッシ | グラスウール14K | 等級5クリア |
| 大安心の家[暖]PREMIUM | アルミ樹脂ハイブリッド | 吹付けウレタン | 等級5〜6相当 |
| 笑顔の家 | 樹脂サッシ | 外壁ダブル断熱 | HEAT20 G3水準 |
※上表は調査時点の情報をもとにした目安です。最新仕様は必ずタマホーム公式サイト(tamahome.jp)の各商品ページでご確認ください。
- 木麗な家は5〜7地域でアルミサッシ標準、断熱等級4相当が多い
- 大安心の家は2022年から樹脂サッシ標準となり断熱等級5をクリア
- 大安心の家[暖]PREMIUMはクリプトンガス入りトリプルガラス採用
- 笑顔の家はHEAT20 G3水準の最上位断熱仕様
- 同一商品でも地域区分により仕様が変わるため個別確認が大切
タマホームの窓・サッシ仕様を詳しく読み解く
窓まわりの断熱性能は住宅全体の断熱に大きく影響します。窓からの熱の出入りが全体の約5〜6割を占めるとも言われており、サッシとガラスの仕様選びは非常に大切な判断ポイントです。
サッシの種類と断熱性の違い
住宅用サッシは大きく「アルミサッシ」「アルミ樹脂複合サッシ(半樹脂サッシ)」「樹脂サッシ」の3種類に分かれます。アルミサッシは耐候性と強度が高い反面、熱を伝えやすく冬場の結露が起きやすいです。アルミ樹脂複合サッシは室内側を樹脂・室外側をアルミにした構造で、結露しにくく断熱性と耐久性のバランスがとれています。多くのハウスメーカーで標準仕様として採用されています。
樹脂サッシはアルミと比べて熱伝導率が大幅に低く、冬の窓まわりの結露を最も抑えられます。ただし樹脂素材は紫外線で劣化しやすい性質があるため、南面など日射の強い場所では経年変化に注意が必要です。タマホームの大安心の家では2022年以降、この樹脂サッシが標準となっています。
ガラスの種類と断熱性の違い
ガラスには「単板ガラス(1枚)」「ペアガラス(2枚)」「トリプルガラス(3枚)」があります。単板ガラスは断熱性が低く、現在の新築住宅への採用はほとんどありません。ペアガラスは2枚のガラスの間に空気層を作り、断熱性を高めたものです。さらに空気層にアルゴンガスやクリプトンガスを封入すると断熱効果が上がります。トリプルガラスは空気層が2つになり、ペアガラスよりさらに高い断熱性を発揮します。
Low-E膜はガラス表面にコーティングされた金属膜で、室外からの熱と紫外線を反射します。遮熱タイプは夏の日射熱を抑えるのに適しており、断熱タイプは冬に日射熱を取り込みながら室内の熱を逃がしにくくします。方角によって使い分けるとより効果的です。
タマホームで窓・サッシをグレードアップする際の考え方
大安心の家で標準の樹脂サッシ+アルゴンガス入りLow-Eペアガラスから、Low-Eトリプルガラスへオプション変更することができます。特に北側の窓や吹き抜けまわりなど、冷気が入りやすい箇所への集中投資が費用対効果の高い方法です。全窓をトリプルガラスにすると費用が大きく上がるため、まずどの窓が断熱上の弱点になっているかを担当者と確認するとよいでしょう。
ガラスの断熱性能:トリプルガラス(クリプトンガス入り) > ペアガラス(アルゴンガス入り) > 単純ペアガラス
全窓の一括グレードアップより、冷えやすい箇所への集中投資が費用対効果◎
- 窓からの熱の出入りは住宅全体の約5〜6割を占める
- アルミ樹脂複合サッシは室内側樹脂・室外側アルミの構造で結露を抑える
- トリプルガラスはペアガラスより空気層が1つ多く断熱性が上がる
- Low-E膜の遮熱タイプと断熱タイプは向きによって使い分けると効果的
- オプション変更は寒さが気になる窓から優先するとコストを抑えられる
タマホームの断熱性能を補強するオプションと後付け対策
標準仕様で建てた後でも、断熱性能を補強する方法はあります。新築時のオプション追加と、入居後の後付け対策を分けて整理しておくと、予算配分の判断がしやすくなります。
新築時に検討できるオプション
最も断熱効果が大きいのは吹付けウレタン断熱への変更です。グラスウールを充填する工法と異なり、現場で直接吹き付けるため気密性が高く、コンセントまわりや配線貫通部の隙間も塞がれます。ただし費用は割高になるため、見積もりを取って費用対効果を確認することをおすすめします。
次にコストパフォーマンスが高いのはサッシ・ガラスのグレードアップです。大安心の家では標準の樹脂サッシをベースに、ガラスをトリプルガラスへ変更するオプションが選べます。断熱材のグレードアップと組み合わせると、断熱等級6相当に近い性能を実現できる場合もあります。グレードアップの具体的な費用はプラン・地域・時期によって変わるため、必ず担当営業に確認してください。
入居後の後付け断熱対策
すでに入居済みの場合、最も手軽なのが内窓(インナーサッシ)の設置です。既存の窓の内側にもう1枚窓を取り付けることで、二重窓の構造になり断熱性と防音性を大幅に高められます。工事は1〜2時間程度で完了し、壁を壊す必要がないため騒音・粉じんが少ないのも特徴です。国の補助金(子育てエコホーム支援事業など)の対象になる場合もあるため、工事前に最新情報をこどもエコすまい支援事業等の公式サイトで確認しておくとよいでしょう。
窓まわりの断熱フィルムや断熱ブラインド・ハニカムシェードを活用する方法もあります。後付けで手軽に断熱性を補えますが、内窓に比べると効果は限定的です。まず結露や寒さが特に気になる窓を特定し、そこから優先順位をつけて対処するのが現実的です。
床・天井の断熱補強も視野に入れる
寒さの原因は窓だけとは限りません。床下からの冷気が気になる場合は、床下断熱材の増設を専門業者に相談する選択肢があります。天井についても、タマホームは天井断熱を採用しており、入居後の増設は工法によっては難しいケースもあるため、新築時の設計段階で将来的な断熱強化を想定しておくことが大切です。床材の下に断熱マットを敷くといった簡易対策も、手軽に試せる方法のひとつです。
Q:タマホームの標準断熱で寒いと感じたらどうすればいいですか?
A:まず内窓の追加や窓断熱フィルムで窓まわりを強化するのが効果的です。それでも改善しない場合は床下や天井の断熱補強を専門業者に相談するとよいでしょう。
Q:後付け内窓はタマホームに頼まないといけませんか?
A:タマホームのリフォーム部門に依頼することも、他のリフォーム業者に依頼することもできます。補助金を活用したい場合は、対応業者かどうかを事前に確認してください。
- 吹付けウレタン断熱は気密性向上に最も効果が高いが費用は高め
- サッシ・ガラスのグレードアップはコストバランスが取りやすい
- 入居後の手軽な対策として内窓(インナーサッシ)の設置が効果的
- 補助金制度は変更があるため、工事前に公式サイトで最新情報を確認する
- 寒さの原因は窓・床・天井の3箇所が絡んでいる場合がある
タマホームの断熱性能を比較・判断するときの確認ポイント
タマホームを検討する際、カタログや営業担当の説明だけでは断熱性能の全体像を把握しにくい場合があります。比較・判断する際に押さえておきたいポイントをまとめます。
UA値は「モデルプラン」の数値であることを理解する
カタログに掲載されているUA値は特定のモデルプランを使って計算されたものです。実際の間取り・方位・窓の大きさ・開口部の配置によってUA値は変わるため、カタログ値がそのまま自分の家に当てはまるわけではありません。担当者に「自分のプランでのUA値を計算してほしい」と依頼することで、より実態に近い数値を確認できます。
UA値の目安として、断熱等級5(ZEH水準)は6地域でUA値0.60以下、断熱等級6(HEAT20 G2水準)は同地域でUA値0.46以下となっています(国土交通省の断熱等性能等級基準値より)。自分の建設地の地域区分に対応した基準値は国土交通省の公式サイトで確認できます。
気密性の確認方法と注意点
断熱性能の高い家にするには、断熱材とあわせて気密性の確保が重要です。気密性の指標はC値(相当隙間面積)で、数値が小さいほど隙間が少なく断熱効果が発揮されます。タマホームは公式サイトでC値を明示していないため、契約前に担当者へ確認するか、実際の気密測定を依頼できるかを聞いてみるとよいでしょう。
断熱等級が高くても気密性が低いと冬の隙間風を防ぎきれないため、断熱性能と気密性能の両方を確認しておくと安心です。
地域区分を自分で事前に確認する方法
自分の建設予定地がどの断熱地域区分に属するかは、国土交通省のホームページに掲載されている「省エネルギー基準の地域区分」ページで確認できます。市町村単位で区分が定められており、同じ都道府県内でも山間部と平野部で区分が異なるケースがあります。事前に把握しておくことで、担当者との打ち合わせをスムーズに進められます。
□ 建設予定地の地域区分を国土交通省のサイトで確認した
□ 検討中の商品の断熱等級を公式カタログで確認した
□ 自分のプランに合わせたUA値の計算を担当者に依頼した
□ 窓サッシとガラスの仕様(標準・オプション)を聞いた
□ 気密性の測定対応について確認した
- カタログのUA値はモデルプランの数値のため、自プランで再計算が必要
- 断熱等級5(6地域)の基準はUA値0.60以下、等級6はUA値0.46以下
- タマホームはC値を公式非公表のため、担当者への個別確認が有効
- 地域区分は国土交通省の公式サイト(mlit.go.jp)で市町村単位で確認できる
- 断熱材・サッシ・気密の3点をセットで確認するとよい
まとめ
タマホームの断熱性能は、商品と地域区分の組み合わせで大きく変わります。主力の大安心の家は2022年以降に樹脂サッシが標準化され、断熱等性能等級5をクリアしており、ローコスト住宅の中では十分な水準といえます。一方で木麗な家はアルミサッシが標準の地域が多く、断熱性能の差は明確にあります。
まず取り組みやすい行動として、国土交通省の公式サイトで建設予定地の地域区分を調べることをおすすめします。地域区分がわかれば、断熱等級の基準値と自分の検討商品の仕様を照らし合わせる判断軸が整い、打ち合わせを具体的に進められます。
断熱性能は入居後の快適さや光熱費に直結する部分です。この記事が、タマホームの仕様を整理する際のひとつの手がかりになれば幸いです。疑問が残る点は、必ずタマホームの展示場や担当者に直接確認してみてください。

