住宅の平面図を受け取ったとき、窓の近くに書かれた数字や記号の意味が分からず、その場では流してしまった経験はないでしょうか。「16020」「縦滑出」「AW」といった表記は、読み方さえ知ってしまえばそれほど難しくありません。この記事では、平面図の窓表記に使われる記号・数字・略号の基本的な読み方を整理します。
住宅平面図の窓表記には、大きく分けて「開閉形式を示す記号または文字」「サッシ寸法を示す5桁の数字」「素材や種類を示す略号」の3種類があります。これらが組み合わさって、1つの窓に関するほぼすべての情報が伝えられています。メーカーや設計事務所によって書き方が異なるケースもありますが、基本の読み方を押さえておくと、ほとんどの図面でおおよその内容を読み取れます。
家づくりや窓の交換・リフォームを検討しているときに、手元の図面を自分でも確認できると、業者との打ち合わせがぐっとスムーズになります。専門知識は必要なく、この記事で紹介する基本ルールを知っているだけで十分です。
平面図の窓表記とは何を表しているか
平面図に書き込まれた窓まわりの表記は、窓の「形」「サイズ」「種類」を施工関係者が一目で把握できるように整理されたものです。何を読み取ればよいかを最初に整理しておくと、細かい記号の意味が理解しやすくなります。
平面図における窓の基本的な役割
平面図とは、建物を真上から水平方向に切った断面を示した図面です。部屋の間取りや壁の位置とともに、窓やドアといった建具(たてぐ)の位置と種類が描かれています。
窓は壁に開いた開口部として表現され、線の描き方や記号によって開閉形式が区別されます。引き違い窓であれば2本の平行線が内側に向かうように表現され、縦すべり出し窓であれば弧を描く線が添えられます。この「絵柄」だけでも窓の種類はある程度読み取れますが、実際の図面ではさらに詳しい情報が文字・数字・略号で書き添えられています。
窓表記の基本は「絵柄+文字情報」の組み合わせです。絵柄では開閉形式を、文字情報ではサイズ・素材・取付高などを補足します。この2つをセットで読む習慣をつけると、図面全体の内容が格段に把握しやすくなります。
表記に含まれる情報の種類
平面図の窓に添えられた表記には、主に以下の情報が含まれます。
- >開閉形式(引き違い・縦すべり出し・横すべり出し・上げ下げ・FIX など)>サッシ呼称寸法(5桁の数字で幅と高さを表す)>ガラスの種類(透明・型板・Low-E など)>サッシの素材・種別略号(AW・PW など)>取付高さ(内法高・RH など)>付属部材の有無(シャッター付き・網戸付き など)
これらすべてが1つの窓記号にまとめて書かれているケースもあれば、開閉形式だけが記されていて他は図面別ページの「建具表」に掲載されているケースもあります。手元の図面に建具表が添付されている場合は、平面図と建具表を照合しながら読み進めるとよいでしょう。
メーカーごとの表記の違い
窓表記の書き方には、業界全体で統一された絶対的なルールがあるわけではありません。国土交通省が公開している「建築工事設計図書作成基準」には建具の平面記号が示されていますが、住宅メーカー各社が独自の略語や表記形式を使うことも多く、大手ハウスメーカーの図面はとくにオリジナル色が強い傾向があります。
そのため、手元の図面に見慣れない略語が出てきた場合は、まず図面内の「凡例」や別紙の「建具表」を確認します。それでも読み取れない場合は、担当の設計者や営業担当者に説明を求めるのが確実です。読み方が分からない記号を問い合わせることは、打ち合わせの場では当然の確認事項として扱われます。
1. 図面内の「凡例」を探す
2. 別紙「建具表」と照合する
3. 上記で解決しない場合は設計担当者に確認する
- >平面図の窓表記は「絵柄」と「文字情報」の2つで構成される>記載される情報は開閉形式・寸法・素材・ガラス種別など>メーカーごとに独自の略語を使う場合があり、凡例の確認が基本>建具表が別紙に添付されている場合は、平面図と照合して読む
5桁の数字が示すサッシ寸法の読み方
窓の近くに書かれた「16020」「06005」「03611」といった数字は、サッシの呼称寸法を示しています。この数字の構造を知ると、窓のだいたいの大きさがすぐに読み取れます。
前半3桁が幅、後半2桁が高さ
サッシ呼称寸法は5桁の数字で表され、前半の3桁が窓の幅(横方向)、後半の2桁が窓の高さ(縦方向)を示します。単位の読み方は、前半3桁はそのままcm(センチメートル)として読みます。後半2桁は末尾に「0」を補ってcmとして読みます。
たとえば「16020」であれば、幅160cm・高さ200cmと読みます。「06005」は幅60cm・高さ50cmです。「03611」は幅36cm・高さ110cmとなります。この読み方を覚えておくだけで、図面上のどの窓についても大まかなサイズ感を把握できます。
呼称寸法と実際の寸法の関係
この5桁の数字はあくまでも「呼称」であり、実測値とは若干異なる場合があります。呼称寸法はサッシ枠の有効開口寸法(内法寸法)を基準に設定されており、実際に壁に開く開口部の寸法とは枠幅の分だけ異なります。
また、在来木造用の既成サッシでは、幅方向に5mm単位のサイズ展開があるため、呼称「036」は実際には365mmのサッシが入るケースがあります。図面上の数字は概寸として参考にしつつ、正確なサイズを確認する必要がある場合はメーカー仕様書や施工図を合わせて確認するとよいでしょう。
内法高の表記(取付高さ)
窓記号の中に「内2000」「内1800」「RH=1850」といった表記がある場合、これは床面からサッシ枠の上辺までの高さ(内法高)を示しています。内法高が2000mmであれば、床から2mの高さに窓の上端が来るよう取り付けられることを意味します。
浴室や洗面所では収納や天井高の関係から内法高が低めに設定されることが多く、1800mmや1700mmといった値が記載されます。リビングなど天井が高い部屋では2000mmや2200mm以上に設定されることもあります。この数値を確認することで、窓の実際の配置イメージをつかむことができます。
例:「16020」→ 幅160cm・高さ200cm
前半3桁=幅(cm)/後半2桁+「0」=高さ(cm)
「内2000」= 床からサッシ上端まで2000mm
- >5桁の前半3桁は幅(cm)、後半2桁は高さ(0を補ってcm)>呼称寸法と実測値は枠幅の分だけ異なる場合がある>「内〇〇〇〇」は床からサッシ上端までの取付高さを示す>浴室・洗面所など用途によって内法高が低く設定される場合がある
窓の開閉形式を示す記号と絵柄の読み方
平面図での窓の描き方(絵柄)は、開閉形式ごとに決まった表現があります。絵柄だけでも種類はある程度識別できますが、「引違い」「縦滑出」などの文字が添えられているとさらに確認しやすくなります。ここでは代表的な窓種の絵柄と文字表記を整理します。
引き違い窓の表記
引き違い窓は、2枚のガラス戸を左右に滑らせて開閉する、日本の住宅で最も多く使われる窓です。平面図では2本の平行線が向かい合うように表現されます。引き違い窓は非常に一般的なため、メーカーによっては記号を省略し、絵柄だけで表現することがあります。
文字で表記される場合は「引違い」「引き違い」「ひきちがい」などの表現が使われます。ガラスが標準仕様(型板ガラス)の場合は、ガラス種別の文字を省略する社内ルールを採用しているメーカーもあります。逆に「透明ガラス」と記載されている場合は、標準の型板ガラスではなく透明ガラスが使われることを示しています。
すべり出し窓・上げ下げ窓の表記
縦すべり出し窓は、窓の縦辺を軸にして室外側に押し出して開く窓です。平面図では弧を描く線が添えられ、文字では「縦滑出」「タテスベリ」などと表記されます。横すべり出し窓は横辺を軸にして開くタイプで、「横滑出」「ヨコスベリ」と表記されます。気密性が高く、浴室や洗面所などに採用されることが多い窓です。
上げ下げ窓は2枚のガラス戸を上下に動かして開閉する窓で、「上げ下げ」「上下」などと記載されます。デザイン性が高く、外観にアクセントを加えたい場所に使われることが多い窓です。
FIX窓・片引き窓・その他の表記
FIX窓(はめ殺し窓)は開閉できない固定式の窓で、採光を目的に使われます。平面図では「FIX」「Fi」「はめ殺し」などと表記され、開閉を示す弧の線が描かれません。気密性が最も高い窓でもあります。
片引き窓は1枚の戸を一方向にスライドさせて開閉する窓です。袖がFIXになっているタイプと、壁内に戸袋が設けられるタイプがあり、平面図の絵柄もそれぞれ異なります。そのほか、内倒し窓・外倒し窓・ルーバー窓なども住宅図面では使用頻度が比較的あり、「内倒し」「外倒し」などの文字か特定の絵柄で表現されます。
| 窓の種類 | 図面での文字表記例 | 特徴 |
|---|---|---|
| 引き違い窓 | 引違い、引き違い | 最も一般的。省略されることもある |
| 縦すべり出し窓 | 縦滑出、タテスベリ | 気密性高め。浴室などに多い |
| 横すべり出し窓 | 横滑出、ヨコスベリ | 横辺を軸に室外側へ開く |
| 上げ下げ窓 | 上げ下げ、上下 | 上下2枚を縦方向に動かして開閉 |
| FIX窓 | FIX、Fi、はめ殺し | 開閉不可。採光専用 |
| 片引き窓 | 片引き | 一方向にスライドして開閉 |
- >引き違い窓は最も一般的で、絵柄のみで表現されることも多い>「縦滑出」「横滑出」「上下」などの文字は開閉形式をそのまま示す>FIX窓は開閉なしの固定窓で、採光目的に使われる>絵柄と文字表記を組み合わせて窓種を確認するとよい
素材・種別を示す略号(建具略号)の読み方
窓の素材や建具の種類を示す略号は、主に建具表や設計図書で使われ、住宅平面図でも記載されることがあります。「AW」「PW」「WW」といった英字の組み合わせが代表的で、サッシのフレーム素材を示しています。
サッシ素材を示す略号
サッシの素材を示す略号は「材質の頭文字+Window(W)」の形で構成されています。国土交通省の「建築工事設計図書作成基準」でも建具種別記号として整理されており、設計図書では一般的に使われます。
代表的なものを押さえておくと図面が読みやすくなります。「AW」はアルミ製窓(Aluminium Window)、「PW」または「JW」は樹脂製窓(Plastic/Jushi Window)、「WW」は木製窓、「SW」はスチール(鋼)製窓を示します。近年の省エネ住宅では断熱性に優れた樹脂製(PW)や複合サッシが多く採用される傾向にあります。
ガラスの略号
ガラスの種類も略号で表記されます。「FL」はフロートガラス(一般的な透明ガラス)、「F」は型板ガラス、「PG」または「IG」はペアガラス(複層ガラス)、「Low-E」または「LE」はLow-Eガラスを示します。強化ガラスは「TP」または「T」、網入りガラスは「PW」(磨き)や「FW」(型)と表記されることがあります。
複層ガラスの詳細仕様として「A12」のような記号が添えられることもあり、これは空気層の厚みが12mmであることを示します。「Ar」はアルゴンガス封入を意味します。ガラスの断熱性能が気になる場合は、これらの記号を確認することで仕様の概要がつかめます。
建具略号が読めないときの対処法
建具略号には汎用のものと各社オリジナルのものが混在しています。大手ハウスメーカーの図面では、汎用略語では対応できない独自コードが使われることがあります。「VAH」「ISW」「VAN」「SOW」のような略語は一般的な設計業界でも使われない社内独自のコードである場合があり、凡例なしでは解読が難しいです。
こうした場合は、まず図面セットの中に凡例ページが含まれていないかを確認します。凡例がない場合は設計担当者か営業担当者への確認が最も確実です。不明な記号を問い合わせることは、図面確認の場では当然の手順です。建具の仕様に関わる詳細情報は、最終的にはメーカー公式資料や施工仕様書で確認するとよいでしょう。
AW=アルミ製窓 / PW・JW=樹脂製窓 / WW=木製窓
FL=フロートガラス / PG・IG=複層ガラス / Low-E・LE=Low-Eガラス
TP・T=強化ガラス / A12=空気層12mm / Ar=アルゴンガス
- >AW・PW・WWなどはサッシのフレーム素材を示す略号>FL・PG・Low-Eなどはガラスの種類を示す略号>大手ハウスメーカーの図面ではオリジナル略号が使われることがある>不明な略号は図面の凡例か、設計担当者への確認で解決できる
図面を読む前に押さえておきたいポイント
個々の記号の意味を理解したうえで、実際に手元の図面を読むときに役立つ注意点を整理します。記号の読み方を知っているだけでなく、図面の種類や構成も把握しておくと、より正確に内容を確認できます。
平面図と建具表の使い分け
窓に関する情報は、すべてが平面図に記載されているとは限りません。平面図には開閉形式と寸法だけを記載し、ガラス種別・色・仕様などの詳細を別紙の「建具表」にまとめている設計事務所やメーカーも多くあります。
建具表とは、建物内のすべての建具(窓・ドアなど)を一覧表形式で整理した図面です。建具符号と呼ばれる記号(W1・W2・A1など)が平面図上の窓に振られ、建具表でその符号の仕様が確認できる仕組みになっています。手元の図面セットに建具表が含まれている場合は、平面図と建具表をセットで読み合わせることで、各窓の仕様を正確に把握できます。
掃き出し窓と腰高窓の違いを図面で確認する
窓の取付位置は図面上でも確認できます。床面まで下りてくる大型の窓は「掃き出し窓」と呼ばれ、バルコニーや庭への出入りができます。寸法表記で高さが2000mm前後(呼称「20」)のものは掃き出し窓である可能性が高く、内法高の表記と合わせて確認することで判断できます。
腰高窓は床から一定の高さ(腰の高さ程度)に設置される窓で、寸法表記の高さが1000〜1300mm程度(呼称「10〜13」)のものが多く見られます。立面図や断面図と照合することで、より正確な取付位置を確認できます。
図面の縮尺と実際のサイズ感を把握する
住宅図面の平面図は一般的に1/100や1/50の縮尺で描かれます。図面上の1cmが実際の1mに相当する場合(縮尺1/100)、定規で測れば概算のサイズ感も確認できます。ただし、印刷状態によっては縮尺が正確でない場合もあるため、あくまでも参考として使うようにします。
実際に窓のサイズを確認したい場合は、図面に記載された呼称寸法から読み取るか、メーカーのカタログや仕様書と照合するのが確実です。リフォームや内窓設置を検討する際には、現地の実測を業者に依頼することで、より正確な寸法が把握できます。
Q. 図面の窓に数字しか書いていないが、開閉形式はどう確認すればよいですか?
A. 絵柄(窓の線の描き方)を見ることで開閉形式が分かります。並行する2本線は引き違い、弧を描く線はすべり出しや開き窓を示します。建具表が別紙にある場合はそちらも確認しましょう。
Q. 「透明ガラス」と書かれているのは通常と異なりますか?
A. はい。多くの場合、住宅図面では標準仕様として型板ガラスが設定されており、標準から外れる透明ガラスを使う窓に限って「透明ガラス」と明記するルールをとっているメーカーがあります。標準仕様については設計担当者に確認するとよいでしょう。
- >建具表が別紙にある場合は平面図と照合しながら読む>掃き出し窓は高さ2000mm前後、腰高窓は1000〜1300mm程度が目安>縮尺1/100の図面では図面上1cm=実際1m>リフォーム・内窓設置の際は業者による現地実測が確実
まとめ
平面図の窓表記は「5桁の寸法数字」「開閉形式の文字・絵柄」「素材・ガラスの略号」の3つを組み合わせて読むのが基本です。前半3桁が幅、後半2桁に0を補って高さと覚えるだけで、ほとんどの住宅図面の窓サイズは読み取れます。
まず手元の図面の中に「凡例」や「建具表」が含まれていないかを確認してみましょう。凡例があれば略号の意味が一覧で確認でき、建具表と照合すればガラス種別や取付高さまで整理できます。
窓の仕様は、断熱性・防音性・防犯性など暮らしの快適さに直結します。図面を自分で読めるようになると、業者との打ち合わせでもより具体的に確認や要望を伝えられます。疑問が出てきたときは、遠慮なく設計担当者や施工業者に問い合わせてみてください。

